「会社の評価が低い!」と憤る人が陥る残念な思考 評価は自分ではなく上司や会社がするものだ

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相手が何を求めているかを考えることなしで、相手に評価されることはありません。何を成果と考え、何を大切にしているか、部下に求めていることは何か。そういった「相手基準」、または「会社における評価基準」を理解することなく「評価してほしい」というのは、自分だけルールを理解していないゲームや戦いに挑むようなものであり、土台無理がある話なのです。

さて、MYさんのケースです。

「業績を出し、拠点1位にもなったが、契約更新をされない」という相談。お送りいただいた内容だけでは、何の業績か、その分野の会社全体における重要度はどれくらいか、対象となる「他の従業員」はどんなレベルか、何のカテゴリーの1位でその重要度はどれくらいか、といったことはわかりかねますが、少なくともその分野で1位であることや、他の従業員の2~3倍の業績をその分野で上げているということは、そこまでの評価に値しないと考えるべきでしょう。

すなわち、MYさんはそのことを「評価されて当たり前の成果」と考えていますが、会社など評価する側からすると「それだけでは足りないよね」ということなのです。

会社が望む「結果」を出し続けたのか?

「結果を出し続けた」とMYさんは書かれていますが、それは本当に評価者が望んでいる結果でしょうか。大切なことは、誰が「結果を出し続けた」と認定し、評価するかです。当然それは自分ではありません。冒頭で申し上げたとおり、評価するのはあくまでも上司であり、評価者ですから、その評価者が必要とする結果でなければならないのです。

そのように考えますと、恐らくMYさんに足りないのは、相手側の評価基準を正確に理解することであり、仕事をする前提として「自分は何を求められているのか」を理解することです。

その上で、相手の立場になって、評価されるには「どの分野で成果を上げるべきなのか」「何を優先し、何をするべきか」などを考え、評価軸に沿った形で成果を上げることが大切なのです。誤解を恐れずに言うならば、そういった相手の評価軸を理解せずに、評価されようと思って仕事をすることは「ムダな努力」と同じともいえます。

独りよがりのがんばりや、「自分の中だけのできる自分」に酔っているようではいけません。繰り返しますが、評価とは他人から下されるものだからです。

であるが故、相手に評価されようと思ったら、相手が何をもって「評価するのか」「何を求めているのか」「何を重要視しているのか」、つまり何をもって仕事の成果と考えているかの理解が大切なのです。

したがって、今後MYさんが会社でよい評価を得たいのであれば、期初の段階で上司や評価者からキチンと評価基準などを聞いて、合意すべきでしたし、期中においてもその進捗などについて話し合うべきでした。そういった合意や話し合いを通じて、初めて「共通のゴールとベクトル」をもって走り出せるというものです。

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