ライバル社の企業秘密をさりげなく引き出す方法 元FBI捜査官が教える実証済み心理テクニック

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著者はFBI時代には訓練生たちに、また現在では大学生たちにショッピングモールで実習させ、見知らぬ相手から情報を聞き出す課題を与え、かならずクリアさせている。どんな人でもかならず引き出し法を身につけられるし、練習を重ねれば臨機応変に活用できるようになると著者が明言しているのは、FBI捜査官たちだけではなく、すべての教え子たちが実際に引き出し法を活用できるようになっているからだ。だから、あなたもかならず習得できると、著者は読者を励ましている。

質問らしい質問はしない

この引き出し法には数々のテクニックがあり、いずれも著者が編み出したものだが、訳者がなにより驚いたのは、ほとんど質問らしい質問をしない点だ。こちらが情報を聞き出したいと思っていることをいっさい悟られずに、ただ自然な流れで会話をするだけ。

それというのも、著者は心理学者でもあるため、どのテクニックも人間の心理が基盤になっているからだ。次から次へと質問され、根掘り葉掘り聞かれれば、当然、相手はあなたのことをうさんくさいと思う。よって博士は相手と信頼関係を築き、好感をもたせてから、さりげなく会話を始めていく。どの実例を読んでも、その見事なお手並みに舌を巻くばかりだ。

例えば以下は、本書で紹介されている「推測を述べる」テクニックと「範囲を限定する」テクニックを使って、競争入札に参加していると思われるライバル企業の入札価格を推測するためのテクニックと会話例だ。

ビジネスの場では、数字、見積もり額、予測値といったものが頻出するため、「範囲を限定する」テクニックがとりわけ効果を発揮する。というのも範囲を限定すれば、根掘り葉掘り聞くような真似をしなくても、知りたい数字を引き出すことができるからだ。
次の例では、同じ業界で働くビルとジョージが、とある展示会に参加している。勤務先こそ異なるものの、2人が勤める企業はどちらも官公庁が実施する競争入札に参加している。大きな利益が見込める入札だ。
そこでビルは、ジョージの勤務先がいったいいくらで入札するつもりなのか、情報を収集したいと考えた。
ビル:おたくの会社も、例の入札に参加してるんだってね。だけど、おたくは、あの契約を扱えるほど規模が大きくないだろう?〔「推測を述べる」テクニック〕
ジョージ:そりゃ、君のところほど大手じゃないが、最近、新たな設備投資を実施してね。おかげで、大幅なコスト削減に成功したんだよ。
ビル:それでも、5%から10%のコストカットがせいぜいだろう?〔「範囲を限定する」テクニック〕
ジョージ:それがなんと、20%もできたんだよ。これだけ削減できたんだから、例の契約は獲得できると思うね。
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