ブラザーやコーンズが自動車産業に参入する意味 異業種からの参入が相次ぐ、自動車業界の潮流

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「BAS-375H-L50R」の操作画面(筆者撮影)

また、同担当者は「中国の自動車メーカーなどでも、サイドエアバッグやカーテンエアバッグの搭載が進む見込みがあり、今後は海外への市場拡大も積極的に目指す」という。近年、クルマの安全装備は、国内外を問わず、年々きびしくなっている。それを商機とし、自社の得意分野を活かした新技術で新たな市場を開拓していく。創業100年以上の老舗企業は、事業における柔軟性の高さも、今まで培った多くの経験則のひとつなのかもしれない。

コーンズテクノロジーとしてLiDARを出展

コーンズは、コーンズテクノロジーとしてLiDARを出展(筆者撮影)(輸入車販売大手のコーンズ・モータースは関連会社 )(筆者撮影)

一方のコーンズ。こちらは、もともとは輸入車の販売業を行ってきた企業だ。創業はなんと1861(文久元)年というから、江戸時代から続く老舗中の老舗だ。当展示会には、先述した子会社の技術専門商社コーンズテクノロジーが出展。なかでも、注目だったのは、同社が国内総代理店を務めるアメリカ企業ルミナー・テクノロジーズ(Luminar Technologies)が開発した3Dタイプの新型LiDAR(ライダー)「アイリス(Iris)」だ。

アイリスの本体(筆者撮影)

近年注目されることが多くなったLiDARは、主に自動運転や先進安全装備向けの光りセンサー技術だ。赤外線などのレーザー光を照射し、対象物に当たって跳ね返ってくるまでの時間差を計測するなどで、車両の前方や周囲にある障害物などの存在を検知する役割を担う。いわば、自動運転車が他車両や歩行者、路上の物体などを検知するための「目」の役割をするセンサーのひとつだ。なかでも、アイリスが採用する3Dタイプは、3次元状に光を照射することで、より正確な障害物などの検知が可能だという。

アイリスによって検知された空間イメージ(筆者撮影)

アイリスの大きな特徴は、最大検知距離600mという長距離検知性能だ。コーンズテクノロジーの担当者によれば、「通常のLiDARが270m程度の検知距離なのに対し、格段に遠くの物体を検知することが可能」だという。とくに高速道路などでの走行時は、車両が短時間でより多くの距離を進む。そのため、前方の障害物などは、できるだけ遠くにあるときにいち早く発見し、迅速な回避または停止などの操作が必要だ。

自動運転車では、いかに車両が早期に前方の物体を検知し、必要な制御を判断するかで安全性は大きく変わってくる。アイリスの高い長距離検知性能は、そうした自動運転技術における課題のひとつを解決することに貢献するという。ちなみに同モデルでは、波長1550nmのシングルモードファイバーレーザー光源を使うことで、人の目にも優しく、周囲にいる人体への悪影響もないそうだ。

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