ブラザーやコーンズが自動車産業に参入する意味 異業種からの参入が相次ぐ、自動車業界の潮流
クルマのサイドエアバッグは、シートの横面に搭載されるもの。そして主にサイドウインドウ上部のルーフラインに沿って搭載されているのがカーテンエアバッグだ。従来、エアバッグはハンドルなどに内蔵された運転席用と、ダッシュボード内などにある助手席用が主流だった。
だが近年は、それらだけで乗員を保護するのは不十分で、ドアと乗員の間で展開するサイドエアバッグ、ピラーやガラス面への衝突による衝撃緩和の効果を持つカーテンエアバッグも重要だとされている。国内の市販車ではまだ法令による義務化には至っていないが、欧州車などでは装備はすでに必須とされていることもあり、最近は国産の新型車にも続々と採用されている。
大型製品の縫製が可能なブラザーの電子ミシン
そんなサイドエアバッグやカーテンエアバッグを一括縫製できることがブラザー製品の大きな特徴だ。とくにクルマのサイドウインドウすべてを網羅するカーテンエアバッグでは、運転席や助手席用のエアバッグと比べると、かなりの長さや広さが必要になる。ところが従来からある電子ミシンでは、そのサイズに対応しておらず、分割して縫製する必要があり、手間や時間がかかった。
一方、ブラザーの製品は、独自のブリッジ型を採用することで広い縫製エリアを実現し、一度に縫製することが可能だ。ブリッジ型のアームに付いた縫製針が左右に移動することで、最大で幅700mm、長さ3200mmの生地を縫うことができる。また、頭部は70mm上昇するリフトアップ機能も備えることで、厚みのある素材やクランプでも頭部に接触することなく、多様な生地を縫製することができる。これら機能により、サイドエアバッグやカーテンエアバッグ製造時における、省人化や生産時間の短縮を可能とし、ひいては製造コスト低減にもつながる。
ブラザー工業の担当者によれば、2019年に発売して以来、「自動車部品メーカーなどからの需要が年々伸びている」という。長いカーテンエアバッグでも一度に縫製できる他社製品にない有利性が、同社の自動車部品分野における躍進の源となっているのだ。
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