ANAホールディングス(HD)の黒字化達成には、外国人の新規入国の原則停止など政府の新型コロナウイルスに向けた水際対策の緩和が鍵になりそうだ。同社傘下の全日本空輸の平子裕志社長が9日のインタビューでそうした見方を示した。
23年3月期の黒字化は「必達目標」
ANAHDの取締役も務める平子社長は、親会社が目指す来期(2023年3月期)の黒字化について、「ポイントは国際線の旅客需要がいつ戻ってくるのか」だと指摘。その上で、コロナのオミクロン変異株の特性を踏まえ、「水際対策が緩和されてくることを期待したい」と続けた。
海上輸送が逼迫した状態が続く中、国際貨物事業では引き続き堅調な需要が見込まれるほか、コスト削減を含めた構造改革の取り組みなどを踏まえると、「黒字化のめどはしっかり立てていけると思っている」と自信を示した。
コロナ感染拡大の影響で旅客需要の低迷は長期化しているものの、国内線の回復や貨物事業の好調などで巻き返し、ANAHDの第3四半期(10-12月期)営業損益は8四半期ぶりに黒字転換した。通期の営業損益は前期に引き続き赤字となる見通しとなっているが、会社側は来期の黒字転換を「必達目標」としている。
コロナ禍前はANAHDの旅客収入のおよそ半分を国際線が稼いでいたが、厳しい出入国制限などの影響で21年3月期の旅客数は前年比95%減となった。同社は第2四半期発表時には1月以降に「各種制限が段階的に緩和される」前提で国際線の旅客数が今年3月末にはコロナ前の30%まで回復すると想定していたが、感染再拡大の影響で目論見は外れた格好となっている。