ダニ対策に「ふとんたたき」をする人に欠けた視点 ふとんが早く傷んでダニの侵入が容易になる

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つまり、3、4回連続して掃除機をかけると、掃除機で吸い取れる分はみな吸い取ったと考えられます。ただし、ふとんの中まですべて吸い取れたかどうかは疑問ですが。

一方、使用して10年以上たった古いふとんは、綿もぺったんこになっていて、掃除機で吸い取っても、綿の内部まで吸引力が届きません。

そのため、掃除機をかけても、かけても、ほこりやダニが際限なく出てきます。内部まで取りきれていないので、いつまでも出てくるというわけです。

つまり、新しくてふっくらしたふとんなら、掃除機でダニやほこりはある程度までは取れますが、古いぺったんこのふとんだとあまり効果はないことがわかります。

一概に掃除機でダニが取れるともいえないし、取れないともいえない。条件次第だということです。

ふとんたたきのかわりに掃除機をかける

では、ふとん干しをした場合としなかった場合はどうでしょうか。これは明らかにふとん干しをしたほうが、ほこりもダニも掃除機でたくさん吸引できることがわかりました。

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日光に干すと、新しいふとんのように綿がふっくらします。そして中のほうまで吸引力が届くので、ダニやほこりが吸い取りやすくなるのです。

ふとん干しをしなかったほうは、綿がぺったんこのままですので、掃除機で吸い取ってもあまり効果はありません。

結論としては、日光に干したふとんは取り込んだ後、すぐに掃除機をかけると、ダニやほこりをある程度は吸引できます。

今後は、ふとんを干す場合は、「ふとんたたきのかわりに掃除機をかける」。これを習慣にしていただければと思います。

髙岡 正敏 ペストマネジメントラボ代表取締役

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たかおか まさとし / Masatoshi Takaoka

日本獣医畜産大学卒業。東京大学医科学研究所寄生虫研究部でダニの研究を始める。1975 年東京医科歯科大学医動物研究室教務技官に就任。1978年獨協医科大学医動物学教室講師に。グアテマラにフィラリア症対策プロジェクトの専門員として1年間派遣される。1980 年埼玉県衛生研究所環境衛生部技術吏員に就任。埼玉県立衛生短期大学非常勤講師、埼玉医科大学非常勤講師などを兼務。住居内のダニに関する調査を続け、莫大なデータを集める。2008 年埼玉県衛生研究所を定年退職。これまで行ってきたダニに対する調査結果をまとめ、アレルギー疾患に対する治療法と予防法を確立するため、株式会社ペストマネジメントラボを設立。
 

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