ダニ対策に「ふとんたたき」をする人に欠けた視点 ふとんが早く傷んでダニの侵入が容易になる

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しかも日光干しのふとんは、日光に当たらない側が4分の3もあります。一度ひっくり返したとしても、まだ2分の1は光が当たりません。

それにふとんには厚みがあります。ダニはふとんが熱くなれば、ふとんの中や裏側に逃げていきます。ふとん干しでダニを殺そうというのはそもそも無理な話です。

一方、湿度のほうはどうでしょうか。就寝するときはふとんの湿度は65%くらい。寝ている間に人の汗を吸って70%近くまで上昇します。湿度70%だと、ダニが増えるのに、ひじょうにいい環境です。

しかし、その後、ふとんを日光に干すと、湿度がどんどん下がっていきます。14時過ぎには、日光に当たる側で35%、日光に当たらない側でも15時には最低の48%くらいになります。ちなみに2日目も続けましたが、さらに湿度が下がって、15時には最低の30%くらいまで下がります。

湿度30%近くなると、ダニにとっては増殖するには厳しい環境になります。つまりダニは増えません。2日目のふとんはひじょうに快適です。

ということは、ダニ対策としてふとん干しの効果はたしかにあるといえます。ただし、それは日光でダニを殺すのではなく、ふとんを乾燥させてダニをこれ以上増殖させない、という意味です。ふとん干しは、こまめに継続して行うことに意味があるのです。

なお、ふとん干しは15時(午後3時)を過ぎると、乾燥していたふとんの湿度が再び上昇し始めます。せっかく乾燥させたのに、また湿ってくるのです。夜まで放っておくと、湿度は50%を超えてしまいます。

これではせっかくふとんを干して、乾燥させても意味がなくなります。ふとん干しをしたら、必ず午後3時ごろまでには取り込むよう、心がけましょう。

ふとん干しができないときはふとん乾燥機でも可

「うちは日が当たらないからふとん干しができない」「昼間は働いているので、ふとんが干せない」と言う人もいます。また梅雨どきなど、雨降りが続くときは、ふとん干しができません。

そういうときは、ふとんに熱風を送る家庭用のふとん乾燥機でも代用できます。日光干しほど乾燥効果は強くありませんが、やらないよりやったほうがはるかにましです。

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