サントリー「BOSS」が映す容器コーヒーの大変遷 「発売30年」平成→令和で飲まれ方はこう変わった

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今年で発売30年を迎えたBOSSブランドだが、その取り組みは興味深い。

クラフトボス開発にも携わった「BOSS」グループの大塚匠さん(筆者撮影、撮影のためマスクを外しています)

缶よりも顧客層が若いペットボトル

缶コーヒーのBOSSに対して、クラフトボスはペットボトル。近年のペット飲料人気を象徴するシリーズだ。発売されたのは5年前。消費者嗜好と向き合い、味の開発を進めた。

「開発当時、コンビニコーヒーが売れに売れていました。淹れたてのブラックコーヒーが人気でしたが、消費者調査をすると、苦みよりも優しい味を好む人もいた。さらに市場調査と議論を重ね、クラフトボスは、すっきり飲みやすい味に仕上げたのです」(大塚さん)

昨年の取材では「薄い味なので朝のルーティーンにしやすい。職場のコーヒーマシンで濃厚な味は楽しめるので、濃淡のコーヒーを分けて飲んでいます」(30代男性)という愛飲者の声を聞いた。缶コーヒーに比べて顧客層が若く、少しずつ “ちびだら飲み”ができるのも特徴だ。

「缶コーヒーとペットボトルコーヒーでは男女構成比も違います。大まかに缶=男性8~9割:女性1~2割に対して、ペットボトル=男性3~4割:女性6~7割の構成比となっています。とくにラテ系は女性の支持が高いです」(同)

昨年リニューアルしたクラフトボスでは、ペットボトル容器の形状も一新した。容器の上部にBOSSのロゴや“BOSSおじさん”を型押し、容器の厚みも薄く手触り感が増した。

実はクラフトボスは「ミルクティー」や「抹茶ラテ」なども出しており、厳密にはコーヒー専用ブランドとはいえない。だが、それも若年層が支持しやすいのだろう。

新容器では手触り感も訴求した(写真:サントリー食品インターナショナル)

一方、缶コーヒーBOSSの愛飲者は現場作業員や運転手といった現業系がコアユーザーだ。それは30年前の発売時も現在も変わらない。

「今でも缶コーヒーはBOSS全体の半数を占め、ブランドの屋台骨を支えています。とくに人気なのが『レインボーマウンテンブレンド』『贅沢微糖』『ブラック』『カフェオーレ』の4商品で、社内では“四天王”と呼ばれています」(同)

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