「ジャパン・クライシス」が迫っている アベノミクスには出口がない!

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小林:1000兆円を超える累積債務をなんとかし、財政を立て直すには長期的なビジョンを打ち出し、国民を説得するプロセスが必要ですが、いま、それをやろうとする政治家はいません。どうしても、次の選挙で勝つことを優先してしまうので、10年先、20年先を見据えた長期戦略を国民に示し、責任を持って実行するということができない。

橋爪:政治家は次の選挙のことしか頭にないかもしれませんが、有権者はそうじゃない。30代の人なら、あと半世紀も生きていかなくちゃならない。もっと長いタイムスパンで、もっと常識的な判断ができるはずです。ただしそれには、きちんと、有権者に正しい情報を伝えなければならない。それが出来ていれば、政治家は有権者の声にしっかり耳を傾ければいい。

ジャパン・クライシスを防ぐのに、対症療法は重要じゃありません。対症療法をいくらやっても、長期的で構造的な課題には関係がない。構造的な課題を放っておくと、とんでもない事態になりかねない。

ハイパーインフレのリスクも

――お二人が刊行された『ジャパン・クライシス』には、最悪のケースも想定されています。

橋爪:対応を誤れば、かなりの確率で、ハイパーインフレに陥ると考えています。そうなれば、こつこつ貯めてきた貯金も一瞬のうちに失われ、年金制度も破綻。企業や銀行も次々と倒産し、多くの人びとが路頭に迷うことになる。そうならないよう、一刻も早く手を打つ必要があります。

小林:今の30代、40代、50代、60代の人は、そうした事態になったら、だれも逃げ切れません。そうならないよう、少しでも早く財政を立て直す必要がある。『ジャパン・クライシス』にも書きましたが、最近では、財政が健全化しなければ景気も回復しないという研究結果も、出ています。

橋爪:私たちが言っているのは、簡単なことです。誰でもわかります。政府は、国民の生活を守るために存在する。その、政治の原点に立ちかえって、目先のことにとらわれず、優先順位の高いことからしっかり実行していく。国民は政府にそれをしろと、はっきり声をあげることが重要です。

(撮影:今 祥雄)

石島 裕之 筑摩書房 編集局
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