「ジャパン・クライシス」が迫っている

アベノミクスには出口がない!

「もしかすると地方創生で財政支出が増大する一方で、増税はしないという結果に終わるかもしれない」(小林教授)

橋爪:だからといって、非正規雇用の人が正規雇用になるわけではないし、中高年を中心とする早期退職の流れに歯止めがかかるわけでもない。むしろ、大多数の国民にとって可処分所得は減りつつあるわけで、財布のヒモも固いままです。それによって景気回復の足が鈍ってしまうという構図に変わりはない。

小林:高所得者層の消費が活性化することで、中間層以下にもそれが波及するというのが政権の予想ですが、そうならない可能性が非常に高い。

――こうした中で、今年12月には消費税率を10%まで引き上げるかどうかが決まるわけですが、これについてはいかがでしょう?

橋爪:安倍政権は悩むでしょうね。おそらく、アベノミクスで景気を回復させ、第二段階として財政再建に着手するつもりだったのでしょうが、景気にそこまではずみがついていないと判断すれば、消費税率アップを先延ばしにしてしまう可能性が高いと思う。

小林:多くの経済学者は、予定通り増税すべきと考えていますが、政権に対する支持率とか選挙のことを考えると、安倍さんの周辺は、このタイミングで引き上げたくはないでしょうね。

安倍政権の抱える誤算

小林:いま、新たに「地方創生」というテーマが掲げられ、地方にお金を流すような公共事業がいずれ実施されるはずですが、そんな風にして景況感を改善した上で、12月に消費税率を引き上げるというのが、財務省のシナリオでしょう。しかし、政治家がそれに乗るかどうかは、分かりません。もしかすると「地方創生」で財政支出が増大する一方で、増税はしないという結果に終わるかもしれない。そうなったら、最悪の選択なんですが……。

橋爪:まるきりの時代錯誤です。「列島改造」や「ふるさと創生」の発想のまま、ばらまきで経済成長ができると思っている。日本経済のメカニズムはその頃と様変わりしていますから、効果がないばかりか、事態をいっそう悪化させてしまいます。

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