「奇界遺産」佐藤健寿が現在に至った偶然と必然 子ども時代に観たオカルト番組が興味の根源
──ちなみに、写真で伝えることが難しいモノやコトってありましたか?
佐藤:例えば、『クレイジージャーニー』でも放送されましたが、アメリカに「ボディ・ファーム(死体農場)」と呼ばれる場所があって、ここは法医学や人類学の研究のため、人間の遺体を農場に放置して、死後の経過を観察する施設なんですけど、そこの特有の臭いっていうのは、なかなか伝わらないですよね。他にも写真では穏やかな空気感に見えても、現場では怒号が飛び交っていたりすることもよくあります。あと、北朝鮮は犯罪者もいなくて安全だったんですが、撮影中に監視人みたいな人がずっと同行して「これは撮影禁止だから」って色々言われるんです。
『クレイジージャーニー』はスタッフの情熱の次元が、もう全然違うんです
──今もお話に出ましたが、テレビの『クレイジージャーニー』という番組で佐藤さんを知った方も多いと思います。佐藤さんはあの番組をどう捉えていますか?
佐藤:すごく面白い番組ですよね。ほかの出演者たちも、「番組に出てよかった」と言ってたんじゃないかと思います。スタッフの情熱の次元が、もう全然違うんですね。変に思考停止した自主規制みたいなものがまったくなくて、驚きました。
我々のようなタイプにとって、とくにテレビは諸刃の剣。その点、松本(人志)さんはじめスタッフの方々がきちんと敬意をもって扱ってくれて、素直にやりやすかったです。
──近年はUFOやオカルトなどを特集した番組はほとんど放送されなくなってしまいました。なぜ、減ってしまったのでしょうか?
佐藤:よく言われる話が、90年代に起きたオウム真理教事件。80年代のオカルトブームを経て、その文化土壌から出てきた奇抜な言動を繰り返す麻原彰晃をバラエティ番組が面白半分でテレビ出演させたことで、東大出身の賢い子たちが「大予言」や「最終戦争」、超能力まがいのことを信じて入信してしまった。それであの事件が起こって、マスコミもこれはさすがにまずいとなって自粛が始まったという。
あと、昔は「エリア51」みたいな伝説一つで10年、20年引っ張れたんです。「アメリカの基地建設に関わった作業員にインタビューした」って内容で、テレビの特番一本組めましたから。