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結果、何もなかったんですが、30〜40年経つと細かい話は忘れられて、テレビで「過去に米軍が正式にUFO研究を行っていた」みたいな放送をするようになって、それを見た我々が「やっぱり本当にアメリカ軍はUFO問題に取り組んでいた」と捉えてしまう……。そんなふうにして「UFO基地」という、事実がねじれて生まれた場所ができたわけですね。
──そんな“不思議な場所”を撮影するために気をつけていることは?
佐藤:先ほどお話したとおり、なるべくニュートラルな気持ちで撮影に臨んでいます。例えば「奇界遺産3」に掲載した北朝鮮は、どうしても政治性みたいなものが写真に写りこんでくる。貧しく撮ろうと思えばいくらでも撮れるし、逆のイメージで撮影することもできるわけです。だから「本当にどちらでもない真ん中の視点」で撮影することに徹しています。
メディア特有の無理矢理なストーリーづけで、イメージを変に植えつけるようなことはしたくなくて。あくまでもニュートラルな視線で撮影して、改めて「やっぱり不思議だったな」っていうものも出てくるし、「逆になんでこんなものが世界の大ブームになったんだろう?」と思うこともある。そういう面白さを、皆さんと共有できたら楽しいと思っています。
──だから、佐藤さんの写真には“それが何なのか?”を考えさせられる不思議な力が備わっているんですね。そんななかでも「これは!」と佐藤さんの気持ちが盛り上がった場所は?
佐藤:やっぱり最近では北朝鮮のマスゲームですね。興奮するというか、焦るんですよね。凄すぎる場面に出会うと、撮影する前から、制限された時間内で撮りきれなくて後悔している自分でイメージできてしまうんです。北朝鮮のマスゲームはとにかく圧倒されました。
──そうすると、撮影準備は入念にするんですか?
佐藤:それがそうでもないですね(笑)。ざっくりはやりますけど、調べすぎると色眼鏡がついてしまうこともあるので。あとは「奇界遺産」で訪れるような場所って、ネットで調べても大した話が出てこないんです。ひとつの記述を、ほとんどの記事が使い回しているような状態だったり。ネットの言及は多い場所でも誰も実際に行ってないので、それが間違っていることも多々あるし、僕だけがその間違いに気づいていることもよくあります。
テレビのとある局のリサーチャーの方から「これ間違ってます」って言われて、「いや、ネットが全部間違っているんですよ」って。そういう謎の戦いがたまにありますね(苦笑)。最終的に中国のローカルニュースや、政府の資料文書などを提出しましたけど……。別の話かもしれませんが、ネットに書かれている大多数の情報が事実でないにもかかわらず、事実みたいになっていっちゃうって怖さは常にありますよね。
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