「量的緩和バブル崩壊」はすでに始まっている 「30年バブル」が終了、長期停滞局面の入口に

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さて、第1の「毎日の乱高下」だが、これは投資家(およびトレーダー)のセンチメント(心理)を表している。小さなニュースに一喜一憂し、しかもその日の中で大きく動くのは、ファンダメンタルズや中央銀行、政府の政策に関するニュース自体にびくついているというよりは、ほかの人たちがどう動くのかにビクビクしていることを示している。

「みんなが売っている、やばい俺も売らなきゃ」「みんなは買いに転じた、しまった売ってしまった、買い戻せ」などといった具合だ。そして、これら右往左往する投資家の動きに乗じようとするトレーダーも、トレーダーたちがどう動くかには異常に敏感で、その流れに乗り遅れまいとしている。そういう状況である。

そして、より重要なのは、なぜ皆が超短期の流れに乗りたいと思うのかというと、自分にまったく自信がないから、というよりは、もうバブルが崩壊寸前、あるいは崩壊していることを認識しているから、ファンダメンタルズは無関係、トレードのモメンタム(勢い)だけが相場の動きを決めることを知っているからだ。そして、バブルは終わりだから、基本的には逃げ方向であるからである。

したがって、毎日乱高下し、1日の中で上下に振れるのは、バブル崩壊を投資家全員が認識していることを表しているのである。

大きなバブルは2回崩壊する

第2の「1カ月単位の乱高下」は、もっと大きな枠組みで、バブル崩壊が決定したことを示している。

私の独自の観察として(だから異論は多くあるだろうが)、大きなバブルが崩壊するとき「必ず2回崩壊する」という事実がある。2008年のリーマンショックのときも、1年前にパリバショックがあった。

日本のバブル崩壊でも、株価は1990年1月の大発会から大暴落が始まったが、それでも一気にはいかず、3月の年度末を越えて、暴落は峠を過ぎたかと思われたが、8月から真の大暴落が始まった。

この理由は、1回目の暴落ではまだ儲かっている投資家が多く、センチメントとしては「いかん、バブル崩壊から逃げ遅れた、しまった」ということなのだが、財務的には余裕があるので、パニックで全員が一気に逃げるということはせず、タイミングを見計らって、次の崩壊前に逃げる準備を静かに行うからである。

しかし、2回目のショックが来たときには、逃げる準備は整っているし、それまでに売れるものは静かに売ってきたし、逃げる準備は整っているから、一気に逃げるのである。あるいは、もう財務的に追い込まれて、投げるしかない投資家も続出するのである。

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