大幅下落の米国株は、実態を反映していない 為替も一時105円台だが、波乱の中に「堅調の兆し」も
また、最近の米国株価を含む内外株価下落については、「哀愁のヨーロッパ」懸念、すなわち欧州の景気不振が米国経済などを巻き込む可能性があるから、との指摘がなされている。
「哀愁のヨーロッパ」への懸念は行き過ぎ
しかし下記の4点のように、それを米国株価下落の要因とするのは行き過ぎだ。
1) 欧州景気は確かに「低迷」だが、悪化というほどの事態ではない。たとえばユーロ圏の鉱工業生産前年比をみると、直近の7月分まで11カ月連続プラスで推移している(リーマンショック時と欧州財政懸念時は、生産前年比はマイナス圏で推移)。このため、米国など他国の景気を後退に引きずり込むようなものとは考えにくい。
2) IMFが世界経済見通しを10月7日(火)に下方修正したことが、内外株価下落の引き金を引いたと言われている。しかし下方修正の幅は、世界全体の実質経済成長率について、2014年で0.1%、2015年は0.2%に過ぎない。
3) 米国経済は、引き続き堅調だ。たとえば雇用統計における非農業部門雇用者数前月比は、今年は1月と8月に20万人を割り込む増加にとどまったものの、他の月は全て20万人以上の増加を堅調に続けている。昨日の15日は、9月の小売売上高が前月比で0.3%減少したことが、米株価の押し下げ材料として加わった。しかし前月8月に0.6%増と上振れした反動と解釈される。実際、市場の事前予想では0.1%減と、もともと減少することが見込まれていた。
4) 米国の企業収益も好調だ。7~9月期の決算発表が本格化しているが、S&P500採用銘柄のうち、15日時点で、すでに46社が発表を終えている。この46社について、税引後利益の実績がアナリストの事前予想平均値(ブルームバーグ調べ)を上回ったものが35社(全体の76%)、予想並みが3社、下回ったものが8社で、総じて事前予想を上回るものが多い。
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