三菱電機による鉄道車両用空調装置の不正検査、トヨタ車・レクサス車販売会社における不正車検、大和ハウス工業における施工管理技士資格の不正取得など、大手企業や大手企業関連会社が起こした不祥事の発覚が後を絶たない。
不正が生じた背景の1つとして、トヨタ自動車は再発防止の取り組みの報告の中で「経営層・管理者と現場作業者の風通しの悪さ」を挙げている。三菱電機の不正に関する調査委員会による調査報告書でも、「ものが言えない風土」など、風通しがよいとはいえない企業風土を指摘した。
企業風土の改善が不正防止策の1つに挙げられているが、社内の問題点を社員が躊躇することなく窓口へ伝えられる内部通報制度の整備と制度の実効性向上がカギになるのではないかと考える。
通報件数の多さが企業風土の改善に
東洋経済新報社『CSR企業総覧』編集部では、内部通報が機能するためには「通報しやすいオープンな社内環境を整備し、多くの声を集めること」が最も重要と考えている。それが企業風土の改善にもつながるはずだからだ。
相談を含む多くの情報の中でわずかでも問題のある案件を見過ごさずに対応していけば、大きな不祥事を未然に防げるのではないだろうか。そして、そのための第一歩は、まず社内の通報件数を増やすことだと考える。
そこで、編集部ではCSR調査の設問で尋ねている「内部通報件数(相談等も含む)」を毎年ランキングとして発表。通報しやすいオープンな会社を知るための一つの見方を提供してきた。
今回のランキング対象は『CSR企業総覧(ESG編)』2022年版掲載1631社のうち直近の内部通報件数を回答または公開情報で開示している675社だ。このうち2020年度の件数で上位99位(100社)をランキングした(『CSR企業白書』2022年版には200位まで掲載を予定)。国内集計のみ回答とグローバルベースの集計による回答が混在している点にご注意いただきたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら