西田敏行よりも「大河に出演する俳優」意外な正体 最多登場キャラ、最主演俳優などが明らかに

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3人目は、第42作『武蔵 MUSASHI』(2003年)の、故・エンニオ・モリコーネです。マカロニ・ウエスタンの傑作『夕陽のガンマン』をはじめ、ハリウッド映画『アンタッチャブル』、イタリア映画『ニュー・シネマ・バラダイス』、そしてアカデミー賞を受賞した、クエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』まで、とにかく数多くの名作を送り出した世界の大巨匠ですから。

こうした名前を列記するだけで、NHKがいかに大河ドラマの音楽に力を注いできたかが分かるというものです。

記録④最も大河ドラマ作品数の多い脚本家は?

ドラマや映画の設計図とも言える、脚本を最も多く担当したのは誰か……。

第17作『草燃える』(1979年)、第23作『春の波濤』(1985年)、第32作『炎立つ』(1993〜1994年)、第38作『元禄繚乱』(1999年)の4作を手掛けた、中島丈博。1960年代から現在に至るまでドラマ、映画で活躍を続ける重鎮です。

彼に次ぐ3作を手掛けた脚本家は、5人います。故・市川森一、故・橋田寿賀子、故・田向正健、ジェームス三木、そして今回の『鎌倉殿の13人』も執筆している三谷幸喜です。

その他の顔ぶれを、大河以外の代表作とともに列挙してみると……『北の国から』の倉本聰、『ふぞろいの林檎たち』の山田太一、『3年B組金八先生』の小山内美江子、『HERO』の福田靖、『JIN-仁』の森下佳子、『DOCTOR X』の中園ミホ、『あまちゃん』の宮藤官九郎、『あさが来た』の大森美香、そして来年の第62作『どうする家康』を担当する『コンフィデンスマンJP』の古沢良太などなど、現代日本脚本家トップ・オブ・ザ・トップ。作曲家同様、“日本代表クラス”の才能がここに投入されていると言っても過言ではないでしょう。

そんな、大河ドラマの脚本家の名前を眺めていて、気づいたことが一つ。故・市川森一、三谷幸喜、中園ミホ、宮藤官九郎の4人は皆、筆者が教鞭をとる日本大学藝術学部の出身者。本数にすると8作ですから、全61作の実に13%が一つの大学の一学部出身者の筆によるものとなる計算……“身内びいき”は重々承知しておりますが(苦笑)、少し嬉しくもなりました。

さて、こうした記事を執筆している最中、LINEリサーチが「好きな大河ドラマ トップ10」という、気になるランキングを発表しました。

その結果は、10位:第35作『秀吉』(1996年)、9位:第57作『西郷どん』(2018年)、8位:第60作『青天を衝け』、7位:第25作『独眼竜政宗』、6位:第43作『新選組!』(2004年)、5位:第47作『篤姫』(2008年)、4位:第53作『軍師官兵衛』、3位:第59作『麒麟がくる』(2020〜2021年)、2位:第55作『真田丸』(2016年)、そして1位は……第49作『龍馬伝』(2011年)という結果でした。近年の作品に偏っている感はあるものの、戦国と幕末が5作ずつで、この2時代の人気の高さが窺えます。

今回の『鎌倉殿の13人』の舞台は、人気薄な平安・鎌倉時代。上掲のランキングに『新選組!』『真田丸』の2作を送り込んでいる三谷幸喜へ、大学の後輩である筆者から、心からのエールを送らせていただきます!

(文中敬称略)

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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