日テレAD→YD呼称変更も実態は変わりにくい事情 意識改革の狙いは理解できるが根本解決ではない

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ちなみにADと言っても、テレビ局の「社員AD」と制作会社のADではまるで違う。

制作会社や「派遣」によるADは、世間一般が抱くイメージのADである。

一方でテレビ局の社員は、ADといっても給料は「テレビ局の給料」である。

以前に比べれば減っているとは言うが、世間の大多数から見れば相応の「高給」である。

まるで公務員の「キャリア組」のように

そして2、3年も経てばすぐにディレクターへと昇格する。本人に「腕」がなくても社員というだけで身分は保証されている。公務員の世界で例えれば「キャリア組」といえる。彼らは(私もそうだったのだが)順調に育てば30歳前後で番組の「チーフ格」を任されてやがて総合演出やプロデューサー、CP(チーフ・プロデューサー)などになっていく。あるいは営業局や編成局などに異動して、テレビ局員としてのキャリアを積むのだ。

日テレが、制作会社のAD、ひいてはディレクターへの労務環境だけでなく「金銭面」でも待遇を向上させることはできるのだろうか。

この2、3年ほどで地上波テレビの「総世帯視聴率」は大きく低下している。

広告収入も頭打ちとなって久しい。

フジテレビが「早期退職制度」を導入して、50代の退職者が多く出ているなどテレビ各局の将来は決してバラ色とは言えない。

そんな中で日本テレビは、ADのネガティブなイメージを払拭して「人に優しいテレビ局」を前面に出そうとしている。

それが表面上の「意識高い系」のパフォーマンスに終わらず、「実態」としての労務環境改善、待遇改善につながることを、私はOBとして期待している。

相当に困難な作業だとは思うが。

ちなみに「ヤング・ディレクター」は、私からみてもやはり〝ダサい〟と思う(笑)。

かつてテリー伊藤さんがテレビ東京で「浅草橋ヤング用品店」(のちに「ASAYAN」)というタイトルを作ったが、あれはいうまでもなく「ダサいのを逆手に取った」ネーミングだった。

テリー伊藤氏からT部長こと土屋敏男氏につながる「日テレの確信犯的ダサさの系譜」からくる「ヤング・ディレクター」であれば、2周くらい回ってちょっと面白いのだが、今回はどうなのだろうか。

スチュワーデス改めキャビンアテンダントのように定着すれば良いのだが。

私はどちらかというとJR東日本の黒歴史「E電」を連想してしまった。

村上 和彦 TVプロデューサー、京都芸術大学客員教授

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むらかみ かずひこ / Kazuhiko Murakami

1965年生まれ、神奈川県出身。日本テレビ放送網に入社し、スポーツ局に所属。ジャイアンツ担当、野球中継、箱根駅伝などを担当する。その後制作局に移り、「スッキリ」「ヒルナンデス」「ブラックバラエティ」「24時間テレビ」など幅広いジャンルで実績を上げる。2014年、日本テレビを退社し、TVプロデュースの他、執筆、講演会など活動の場を広げている。現担当 : BSフジ「プライムオンラインTODAY」監修演出など。

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