30代で伸び悩む人が知らずとかかる「呪い」の正体 特定の企業文化や業務に染まりすぎるのは危険

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若い頃は目覚ましい活躍をしていたのに中堅になって伸び悩む人がいるのはなぜでしょうか?(写真:nonpii/PIXTA)
「人生100年時代」と言われる中、ビジネスパーソンにとって、学び続けること、成長し続けることは不可欠です。しかし、若手時代に著しく成長していた人の中には、中堅と言われる20代後半から30代になって、伸び悩んでしまう人がいるといいます。いったいなぜでしょうか。
柳川範之さん(東京大学経済学部教授)と為末大さん(400メートルハードル日本記録保持者)の共著『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』から、一部抜粋して紹介します。

「職場のスター」が輝きを失ってしまうのはなぜか?

スポーツ指導者の中では有名な「早過ぎる適応」という言葉があります。僕たちの時代にあった代表的なリトルリーグの事例を、簡単にご紹介します。

小学生の野球チームは、たいていどこも守備のレベルが低いものです。おまけに、試合を行なうのは校庭などの普通の地面上で、整備された芝などではありません。

そういう環境の中で、もっともヒットが出るのは「ライナー(低い弾道で直線的に飛んでいく打球)」です。わざとバットをダウンスイングさせてボールを地面に叩きつければ、整備されていない地面にあたったボールはどちらにバウンドするかがわからないので、ますます捕球が難しくなります。

結果として、多くの選手がボールを地面に叩きつけるような打ち方を覚えることになります。

ところが、高校野球レベルになると、守備力がアップします。さらにグラウンドも整備されて、変なバウンドなどは起こらない。

そうなると、地面に叩きつけてもなかなかヒットになりません。だから、リトルリーグ時代に優秀で、とにかく叩きつけてヒットを出していたバッターは、強い打球・長打を打たなければならない高校野球では活躍できないということになります。

これが「早過ぎる適応」と呼ばれるもので、ある条件の下での環境に適応し過ぎると、状況が変わったときにかえって阻害要因になってしまうのです。

次ページ適応しても状況が変わったら「ずれ」が生じることも
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