「オミクロンの嵐」吹き荒れるイタリアの窮状 濃厚接触者隔離で「人手不足」「経済麻痺」の危機

✎ 1〜 ✎ 210 ✎ 211 ✎ 212 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
マスクをして歩く人々。感染が拡大してからは、屋外でも人混みではマスク着用が義務化となったが、人混みでなくともマスクをしている人は意外なほどに多い(著者撮影)

コロナに感染して重症化したり、亡くなったりする人の8~9割はワクチン接種をしていない人だと、しきりにニュースで言っているが、オミクロンのものすごい感染力(デルタの3倍と言われている)のおかげで、ワクチン接種者の間でも感染する人がどんどん増えているのだ。たしかに「インフル程度」の症状の人が多いらしく、「死の恐怖」ではなくなったのかもしれないが、無症状でも後遺症が出たりするケースもあるというので、やっぱり感染したくない。私の直接の知人にも続々と陽性者が出始めた。こんなにたくさんの感染者が身の回りにいたことは、2020年の強烈なロックダウンの時にもなかったことだ。予定していた会食などは、誰からともなく「今回はちょっとやめておこうか」という空気になった。私の年末の予定はすべてなくなった。

そんなふうに続々と陽性患者と、その濃厚接触者たちが激増し、隔離される人が増え、仕事に行けない人が増えたから、世界の感染地帯で社会機能が麻痺し始めている。たとえばクリスマスの週末には、8000ものエアーがキャンセルになったという。乗務員、スタッフたちの間でも隔離患者が増え、運航不能となったというのだ。イタリアの国鉄でも列車の10%が運休中だという。サッカーのセリアAでは、選手に感染者が増え、大事な試合に一軍選手がいなかったとか、陽性の選手が多すぎてチーム全体が隔離になってしまうチームも出ている。

製造業やサービス業などでもパニックが起きている。工場のラインで大切な役目を果たす人が欠席になれば、工程全体に支障が出る。製造業では「スマートワーキングはありえない」からだ。

ワクチン未接種者対象のロックダウン

そんな社会機能麻痺に対応するため、濃厚接触者になってもワクチン接種済み、またはコロナ回復者であれば隔離期間が短縮、または免除されることになった。そしてついに、50代以上の全国民のワクチン義務化と、職場でのスーパーグリーンパス携帯義務が閣議決定された。今後、ワクチンを接種していなくても行けるのは、銀行、役所、美容院、スーパーマーケットなどに限定されるという。事実上、ワクチンをしていない人々に限ってのロックダウンだ。ワクチン反対の過激派たちがどんな反応をしてくるのか。ワクチン賛成派と反対派の間で世の中がますます分断され、物騒になりそうで心配だ。

ローマで3回目のワクチン接種を受ける人々(著者友人提供)

ブースター接種にも拍車がかかり始めた。今までは2回目の接種後5カ月以上空けることと決められていたが、それが4カ月に短縮された。そしてグリーンパスの有効期限も9カ月からいきなり6カ月になった。私も3回目のワクチンを1月中に接種したとして、その半年後にはまたグリーンパスの有効期限が迫る。それまでにコロナは収束しているのだろうか。それともイスラエルのように4回目の接種もあるのか。短期間でそんなにワクチンを打って、本当に健康被害はないのだろうか。多くの人がうわさするように、新型コロナウイルスは次第に弱毒化していって、季節性インフルエンザの1つになってくれる、そんな日が1日も早くくることを祈るばかり。と思っていたら、新しい変異種デルタクロンがギリシャで検出されたというニュースが。デルタの毒性とオミクロンの感染力を併せ持つのだという。本当にもう、いい加減にしてほしい!

宮本 さやか ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みやもと さやか / Sayaka Miyamoto

1996年より、イタリア・トリノ在住。イタリア人の夫と娘と暮らしつつ、ライター、コーディネーターとして日本にイタリアの食情報を発信する。一方、イタリア料理教室、日本料理教室、そしてイタリアの人々に正しい日本の食文化を知ってもらうためのフードイベントなども行っている。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事