「オミクロンの嵐」吹き荒れるイタリアの窮状

濃厚接触者隔離で「人手不足」「経済麻痺」の危機

マスクをして歩く人々。感染が拡大してからは、屋外でも人混みではマスク着用が義務化となったが、人混みでなくともマスクをしている人は意外なほどに多い(著者撮影)

コロナに感染して重症化したり、亡くなったりする人の8~9割はワクチン接種をしていない人だと、しきりにニュースで言っているが、オミクロンのものすごい感染力(デルタの3倍と言われている)のおかげで、ワクチン接種者の間でも感染する人がどんどん増えているのだ。たしかに「インフル程度」の症状の人が多いらしく、「死の恐怖」ではなくなったのかもしれないが、無症状でも後遺症が出たりするケースもあるというので、やっぱり感染したくない。私の直接の知人にも続々と陽性者が出始めた。こんなにたくさんの感染者が身の回りにいたことは、2020年の強烈なロックダウンの時にもなかったことだ。予定していた会食などは、誰からともなく「今回はちょっとやめておこうか」という空気になった。私の年末の予定はすべてなくなった。

そんなふうに続々と陽性患者と、その濃厚接触者たちが激増し、隔離される人が増え、仕事に行けない人が増えたから、世界の感染地帯で社会機能が麻痺し始めている。たとえばクリスマスの週末には、8000ものエアーがキャンセルになったという。乗務員、スタッフたちの間でも隔離患者が増え、運航不能となったというのだ。イタリアの国鉄でも列車の10%が運休中だという。サッカーのセリアAでは、選手に感染者が増え、大事な試合に一軍選手がいなかったとか、陽性の選手が多すぎてチーム全体が隔離になってしまうチームも出ている。

製造業やサービス業などでもパニックが起きている。工場のラインで大切な役目を果たす人が欠席になれば、工程全体に支障が出る。製造業では「スマートワーキングはありえない」からだ。

ワクチン未接種者対象のロックダウン

そんな社会機能麻痺に対応するため、濃厚接触者になってもワクチン接種済み、またはコロナ回復者であれば隔離期間が短縮、または免除されることになった。そしてついに、50代以上の全国民のワクチン義務化と、職場でのスーパーグリーンパス携帯義務が閣議決定された。今後、ワクチンを接種していなくても行けるのは、銀行、役所、美容院、スーパーマーケットなどに限定されるという。事実上、ワクチンをしていない人々に限ってのロックダウンだ。ワクチン反対の過激派たちがどんな反応をしてくるのか。ワクチン賛成派と反対派の間で世の中がますます分断され、物騒になりそうで心配だ。

ローマで3回目のワクチン接種を受ける人々(著者友人提供)

ブースター接種にも拍車がかかり始めた。今までは2回目の接種後5カ月以上空けることと決められていたが、それが4カ月に短縮された。そしてグリーンパスの有効期限も9カ月からいきなり6カ月になった。私も3回目のワクチンを1月中に接種したとして、その半年後にはまたグリーンパスの有効期限が迫る。それまでにコロナは収束しているのだろうか。それともイスラエルのように4回目の接種もあるのか。短期間でそんなにワクチンを打って、本当に健康被害はないのだろうか。多くの人がうわさするように、新型コロナウイルスは次第に弱毒化していって、季節性インフルエンザの1つになってくれる、そんな日が1日も早くくることを祈るばかり。と思っていたら、新しい変異種デルタクロンがギリシャで検出されたというニュースが。デルタの毒性とオミクロンの感染力を併せ持つのだという。本当にもう、いい加減にしてほしい!

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