世界的科学者と経済学者が明かす「最高の老い方」 誰もが「健康長寿」を目指すべき納得の理由

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スコット:日本では、大幅に出生率が下がり、少子化が進んでいます。今後は、人口動態の変化が問題となるでしょう。他国よりも高齢者の比率が高いため、若者と高齢者との緊張関係が厳しくなるかもしれません。それが、「老害」というような言葉につながり、日本の心配事になっているようです。

しかし、若者の寿命が延びた時にどうなるでしょう。高齢者のサポートだけでなく、自分たちの将来も考えなければなりません。いまの若者の多くは、今後、健康な高齢者になります。

そう考えると、若者と高齢者が対立しているかのような捉え方は、間違いなのです。イギリス・アメリカでも世代間の対立が、メディアによってよく取り上げられますが、現実には対立するものではありません。

例えば、日本人は、つねに安定性を好むと言われますね。若者が多い時代でもそうだったわけです。ですから、年齢構造が変わるからと言って、政治的な方向性が根本的に変わるわけではないと私は思います。世代間のバランスが異なる中で、新たなバランスを見つけることになるでしょう。

健康寿命の延びがもたらす経済的価値

シンクレア:最近、スコット先生と私とで『nature aging』という機関誌に論文を発表しました。人々が、より長い時間健康でいることの経済的価値を論じたものです(”The economic value of targeting aging” 2021.7.5)。

分析では、健康寿命が1年延びるごとに、何兆ドルもの経済的価値が生まれるとわかりました。若いうちから健康を気遣い、人々の健康寿命を10年長くできれば、アメリカだけでも100兆ドル相当のプラスになるということです。

こういった資金は、教育や気候変動問題など、数々の課題に費やすことができるでしょう。ですから、「高齢者が増えると負担になる」というのは、認識が間違っているわけです。

スコット:まったくそのとおりです。「高齢化社会」というと、高齢者が増えて、人生の終わりに近づくにつれて健康状態も悪くなるという物語を思い描きがちですが、いま私たちが話しているのは、若い人たちが、長い期間、元気に活動できるという物語です。

つまり、「年をとる」ということと、「人生の終末を迎える」ということは意味が違うのです。

シンクレア:その人の将来の健康の因子について、両親から遺伝子によって受け継がれる部分は20%しかないことがわかっています。残りの80%は、人生を通して、どんな生活をするかということが影響します。

例えば、私がいま20代の若者なら、健康な食事を心がけますね。「地中海式食事法」と言われているものです。日本では、沖縄の食事が良い例です。植物由来のものを中心にし、赤肉は減らします。そこに、若干のたんぱく質を追加し、あとは、息切れするぐらいの運動を週に3回。

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