世界的科学者と経済学者が明かす「最高の老い方」 誰もが「健康長寿」を目指すべき納得の理由

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また、政府ができることとして、医師に対して、老化の予防治療を認めるという点も挙げられます。現在は、老化は「自然の道のり」と考えられていますが、それは治療可能なのです。老化そのものを予防することが重要です。

ライフスタイルの変化や、サプリメントなど一部医療品は、老化のプロセスを遅らせるために有効であるとわかっており、今後もさらにそのようなものが登場します。

スコット:シンクレア先生のおっしゃるとおりですね。つまり、「老化は当たり前のものだ」という観念を受け入れるべきではないということです。特に、日本においては、今後高齢者が増えますから、対策を取らねばなりません。

企業もそうです。例えば、自社の商品やサービスを通して、より良い年のとり方とはどんなものなのかを人々に示し、影響を与えることもできるでしょう。健康や老化に悪影響を与える食料品を販売しないようにして、より良い商品を提供していく。そして、運動を推奨する。労働環境を整えることなども、その1つになるかと思います。

老化は逆転させることができる

シンクレア:現在、私の研究室も含めて、世界中の100以上の研究室が長寿学に取り組んでいます。今後、全身を若く維持するということが、どうしても必要になるのです。そのためには、脳も健康でなければなりません。医薬品に加えて、ライフスタイルを変化させることによって、身体と精神の健全性を維持しなければなりません。

私の研究所では、老化現象を逆転させることが可能だということを発見しています。現在は、マウスによる実験段階ですが、完全に失明した視力を蘇らせたり、脳の老化など、失われた能力を再獲得できることがわかっています。

人間に対しては、まだ今後の研究となりますが、長寿科学を使って、老化の速度をゆるやかにしたり、逆転させたりすることができるでしょうし、最終的には、疾患を治すことも可能であると思っています。

スコット:大変素晴らしい研究ですね。長寿時代を健康に過ごせる、身体的にも精神的にも強くなれるのは良いことです。

すでに変化は起きています。健康に関する教育が行われていて、世代ごとにその成果を観察すると、リスクを減らし、危険を避けて、より健康な長寿を楽しめるようになってきたようです。

シンクレア:若い人が健康問題に関心を持ってくれるのはうれしいことです。5年前には、こういった話題に関心を持ってくれるのは、50代以上でした。

しかし、いまアメリカでは、Z世代の人たちが、自分自身の健康を、生物学によってコントロールできることに関心を持ってくれています。食品や運動によって、120年ぐらい生きられるかもしれないという可能性は、ポジティブに受け止められているのです。

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