OPEC減産で上昇した原油価格、当面はイラクの動向が焦点に(1)
原油価格が上昇している。先物の指標となる、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格は、9月に入って1バレル27ドル台と、今年5月以来の最安値を付けて下落傾向だった。それが9月24日になり、わずか1日間で1ドル強もハネ上がったのだ。10月1日時点では1バレル29.3ドル(11月物)を付けている。
その発端はまさに、同日ウィーンで開催されたOPEC(石油輸出国機構)の臨時総会で、11月以降の減産を発表したことだ。「据え置き」と見ていた業界の見方を裏切るサプライズだった。減産枠は日量90万バレルで、この結果、原油生産枠は同2450万バレルになる。減産は2002年1月以来という。
背景には何と言っても、イラクが復興資金確保のため大増産を仕掛けるのではないか、との観測が上がっていたことである。米国主導で再建が進行中のイラクでは、米英兵への報復が続くかたわら、原油の生産は徐々に回復している。イラクにとっては石油の輸出こそ外貨を大量に稼げる唯一の手段。イラクだけではない。非OPEC諸国でも生産を拡大中、かつ米国も供給増で在庫水準が積み上がりつつある。一方で、現物の指標であるバスケット価格(7油種平均)は1カ月間で4ドル強も下落し、OPECが目標の下限としている25ドル台まで落ちていた。年末に向けてより供給過剰が心配されるために、焦ったOPECが需給引き締めを狙って、各国に協調減産を要請したというわけだ。
以下、(2)に続く
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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