ボディビル世界王者が指南「才能開花」の3条件 素質以上に大事な「とことんハマる性分」

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当然、コンテスト出場者の全員がプロを目指しているわけではないですし、ましてやトッププロを夢見ているわけではありません。興味本位で取り組む人も多いですし、それが悪いこととも思いません。ただ、数年に一度「ああ、この人の身体はすごい」と思わされる選手が現れたとしても、何年後かには姿を消してしまうのです。

成功体験が必ず背中を押してくれる

 私には、父親ゆずりの筋肉質という素質があったと思います。でも、それだけでプロにたどり着いたわけではありません。ボディビルディングにハマる性分もあったのです。

小さい頃から、何も長続きしないタイプでした。夏休みの絵日記は、初日に書いたら次は最終日。お年玉も貯金できずにすぐ使ってしまうし、部活動のラグビーも3年の期間満了で燃え尽きました。唯一、続けられたのがボディビルディングなのです。

トレーニングも減量も、うまくいくことばかりではありません。小さな失敗も大きな失敗も、いちいち思い出せないほどたくさん経験してきました。コンテスト前に行う全身のカラーリングも、決して快適ではありません。何度やっても「なぜ、自分はこんなことをしているのかな……」と、思うほど。プロになってからはスポンサーの存在を考えなければならないし、緊張だってある。

なのに、どうして長年続けることができたのかというと、一番は、勝利した瞬間の鳥肌が立つような快感が忘れられないから、もう一度、あの感覚を味わいたいとの想いが、私を押し進めてくれるのです。

もう一つ忘れてはならないのが、リレーションシップ。家族やジムやトレーナー、トレーニングパートナーやビジネスパートナーとの関係性がうまく回ってこそ、自分に集中できるというもの。どの瞬間も、コンテストで勝つ身体に仕上げるための選択をしていくわけだから、それに対する周囲の理解と協力は、なくてはなりません。私は体格、性分、そしてリレーションシップという3つの面で非常に恵まれていたから、ここまで続けることができたのだと感じています。 

写真は著者提供

ボディビルディングのテーマは、自己満足です。

ジムで鏡に身体を映して状態をチェックする姿を「ナルシスト」と揶揄する声が気になる、というトレーニーは多いです。気持ちはわかりますが、ボディビルダーとしてやっていく以上、私はやはり一般よりナルシスティックな面が強くあって然るべきと考えます。ポージングをとり、肉体の美しさを見せつけるわけですから、並び立つ者のなかで自分こそがナンバーワンとの意識で臨まずしてどうするのでしょうか。そこはもう「ナルシスト万歳!」と開き直っていいと思うのです。

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