新型ステップワゴンのデザインは原点回帰なのか

シンプル&クリーンなスタイルで登場した理由

4代目ではその反省を生かして原点回帰を図ったが、次のモデルチェンジではターボエンジンや「わくわくゲート」と呼ばれるリアゲート内蔵の横開きドアが思ったような支持を得られなかった。「新しいことに挑戦したい」というホンダのアイデンティティは、ステップワゴンについてはプラスには働かなかったようだ。

通算6代目となる新型はこうした経緯を踏まえ、ライバルと比較しながら現行型を検証するとともに、歴代モデルを振り返り、価値と魅力の向上を図ることにしたという。

そこから生まれたのがグランドコンセプトの「素敵な暮らし」であり、「安心」と「自由」を形にすべくデザインがスタートしたそうだ。

3割の“ナチュラル派”のために

ラインナップも見直した。従来はノーマルとスポーティな「SPADA(スパーダ)」の2シリーズがあったが、販売面では実に9割をスパーダが占めていたという。途中で追加されたハイブリッドがスパーダ限定だったためもあるだろうが、ノーマルの存在感が薄れていた。

ハイブリッド登場で顔つきが変わった5代目ステップワゴン「スパーダ」(写真:本田技研工業)

しかし、ホンダの調査では、ミニバンを購入したいユーザーの中に、シンプルかつクリーンで暖かい、ナチュラルな世界観を好む人も3割程度いることがわかったという。そこで、ノーマルを廃止し、シンプルかつクリーンな「AIR(エアー)」シリーズを新たに設定して、スパーダと並立させた。

事前説明会で目にした実車は、たしかに無駄な線や抑揚がなく、塊で表現するという方向性が理解できた。日本人は作り手にも買い手にも「簡潔な造形では物足りない」と思う人が一定数いることを知っているだけに、ここまで徹底したことに感心した。

新たに登場したステップワゴン「AIR」(写真:尾形文繁)

一方で近年のホンダ車は、軽自動車の「N-WGN」、コンパクトカーの「フィット」、電気自動車「Honda e」など、シンプルでクリーンな造形のモデルが多く、その路線の延長線上にあるとも感じた。

そんな印象を抱かせる理由として、ディテールを整理していることがある。たとえば、ドアハンドルは前後をつなげて一体化しており、スライドドアのレールと高さを合わせている。クロームメッキは、エンブレムを除けば前後とも横方向の1本のみであり、華美にならずに安定感を出すことに貢献している。

次ページ初代ゆずりのディテールで“らしさ”を演出
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