ビートルズ「解散の原因」は巨額な税金だった説 税金対策アップル社設立からたった2年で解散

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当時のイギリスの税制では、労働党政権のもと、個人の所得には高い税率が課せられていました。ビートルズのような高額所得者には80%以上の所得税が課せられ、さらに付加税もあったので、90%以上が課税されていたのです(この高税率は1979年のサッチャー政権による税制改革まで続きます)。

当時は、東西冷戦真っ最中のときであり、共産主義革命を恐れて、西側諸国では富裕層に高額な税金をかけていたのです。

そのとばっちりをもろに食ったのがビートルズだったというわけです。
ビートルズのアルバム「リボルバー」には、「タックスマン」という曲が収められています。これは、当時のイギリスの税金の高さを皮肉ったものです。

もちろんビートルズは、考えつく限りの方法で節税を行いました。

ビートルズの後期の活動は、「節税」が軸になっているのです。そして、節税の失敗が解散の大きな要因ともなっているのです。

映画「HELP!」がバハマ諸島で撮影された理由

ビートルズのマネージャーのブライアン・エプスタインは、かなり早い時期からビートルズの節税に関しても非常に気を配っていました。

ジョンとポールが受け取る楽曲の著作権印税も、ジョンとポールが直接もらうのではなく、レンマックという会社を通じてもらう、という仕組みにしていました。

ジョンとポールが、著作権印税を直接もらうと高額の所得税がかかります。そのため、著作権印税はいったん、レンマックという会社に入り、レンマックから配当という形でジョンとポールに支払われるようになっていたのです。普通の収入よりも、配当金収入のほうが税率が低かったからです。

レンマックというのは、ジョン、ポール、ブライアンの3人でつくられた会社で、株はジョンとポールが40%ずつ、ブライアンが20%持っていました。

またこのほかにも、ジョンはハンプシャー州のスーパーマーケットを買ったり、リンゴは建設会社に投資したりしていました。

1965年ごろからブライアンはビートルズの収入を課税率の低い外国の口座へ分けて振り込むようにしていました。

また映画「HELP! 〜4人はアイドル〜」は、バハマ諸島でロケが行われましたが、これは節税策も兼ねていたのです。ビートルズは、主演映画も製作し、大成功を収めています。

この映画の撮影場所となったバハマ諸島は、“タックスヘイブン”と呼ばれ、税金の低い地域です。ビートルズは、バハマで映画の仕事をしたことにして、収入もここで貰い受けるようにしたのです。

そのため映画「HELP!」の収益は、バハマの会社キャバケイド・プロダクションズに支払われました。キャバケイド・プロダクションズは、ビートルズと「HELP!」のプロデューサーが共同出資した会社です。

そして映画の出演料をバハマのナッソーの銀行に預金することにしていました。

そうすれば、イギリスの税務当局から文句を言われなくても済むのです。

それでも、ビートルズの税金対策ははかばかしくありませんでした。

ビートルズのメインの収入は、イギリス本国で生じるため、イギリスで巨額の税金を徴収されるのです。

当時のビートルズの課税額の見積もりは約300万ポンドだったといわれています。今の日本円にして約40億円です。半世紀前の40億円というとそうとうの価値があったはずです。

そこで、ビートルズは会社をつくることにしました。

あの「アップル社」です。

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