伊藤園:そうは言っても、われわれはお客様に誤解を与えてしまったので、2007年に新聞記事が掲載された後、自分たちで1日分の野菜350gの栄養素がどのくらいになるのかを算出しました。
厚生労働省が毎年行っている「国民健康・栄養調査」(当時、2004年の結果)を調べたところ、緑黄色野菜は84g、その他の野菜は146g取っています。野菜350gの目標に対して230gしか取っていないというのが実態なのです。今(2012年の結果)は約250gになっていますが、足りていない。その野菜の量で摂取できる各栄養素のデータも公開されています。
では、たとえば緑黄色野菜120g、その他の野菜を230g、合計350g取ったら、どんな栄養素が摂取できるのか。この比率で各栄養素を計算し、それを満たせるように野菜ジュースを作っていこうと決めました。
何の野菜を取るかによって、摂取できる栄養は異なりますので、国民生活センターの推定値を参考にしました。
緑黄色野菜120g分の栄養成分量を推定しており、ニンジンを29.9g、ほうれん草を20.5g、ピーマンを5.3g、トマトを20.5gなどが1日の平均摂取量。そこから摂取できる栄養素を基準にして計算しました。それが表の青い部分になります。
この数字を満たすように、「1日分の野菜」のリニューアルを図りました。表の緑色の部分は、野菜ジュースの天然の素材だけで含まれているものです。搾りかすを除いても、野菜ジュースに入っています。
──ビタミンA効力、カリウム、マグネシウム、ビタミンEは、野菜ジュースに含まれているわけですね。
伊藤園:はい。ビタミンの中でも水溶性のビタミンは確かに飛んでしまいますが、脂溶性のビタミンA、ビタミンEなどは熱で飛ぶことはそんなにありません。ミネラル類(カリウム、マグネシウムなど)はほとんど残っています。
足りない栄養素は後から添加
しかし、赤色と黄色の部分については、野菜ジュースの天然の素材だけでは足りていません。
──赤色の部分のビタミンC、カルシウム、食物繊維が特に足りていません。
伊藤園:たとえば、ビタミンCは目標の44.7mgに対して10mgですので、45mgになるように後から加えています。
──食品添加物のビタミンCを?
伊藤園:食品添加物です。野菜ですから栄養素は産地や季節ごとに違い、少し幅がありますが、カルシウムは16~52mg入っていまして、目標の114mgには足りませんから、これも加えています。食物繊維も0.8~3g入っていますが、目標の7.1gに足りませんから足しています。そういった形で、「1日分の野菜」は2008年1月に主要な栄養素を満たすように作り替えました。
──お客様の反応は?
伊藤園:ある程度、認知をされてきて、2008年から売り上げも回復し、今に至ります。やはりお客様が栄養に関して支持してくださっているとわれわれは考えておりますので、今後も続けていきたいです。
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