大崎洋・吉本興業社長--タレントや芸人と一緒に次の100年を考えたい
──以前から提携をしているCAA(米国最大のタレント代理業)と、アジアでのさらなる連携がありますか。
CAAの取引先に、アメリカの巨大ネットワークを使わずに、独自に映画を世界に流通させたり、テレビ番組を流通させたりできるチャネルを持つ会社があると聞く。アメリカ型の何百億円規模の映画をメジャー配給で流すだけでなく、少額予算の作品をアジアに流すチャネルを持っているという。日本の映画やバラエティ番組、ドラマも、その会社のルートに乗せれば、アジアや世界に配信、配給ができるだろう。CAAにその会社を紹介してもらい、提携することは、十分ありうる。
──海外での勝算や課題はありますか。
アイドルのマーケットや、バラエティ番組のマーケットは、アジアにも存在する。ただ、誰も挑戦したことがないので、海外のメディアと共同制作する中で、社員やタレントがトレーニングすることが必要。各国のニーズに合わせてローカライズするために、どう翻訳するかもあるし、習慣の違い、文化風習の違いで、言ってはいけないこと、やってはダメなことというのもある。そういうのも含めて、どんな制作体制を作っていけばよいのか、試行錯誤しながらやっていくことになる。
エージェント機能の強化が最優先課題
──ほかに展開していきたい分野はありますか。
本業であるタレントマネジメントの強化が優先順位1位のテーマ。吉本興業は従来、お笑いタレントのマネジメントしかやってこなかった。が、今では作家や脚本家、作曲家といった人のマネジメントもしている。こうした人たちの育成をどうするか、また、彼らのエージェンシー(契約交渉などの代理業務)をどうするかは緊急の課題だ。それができれば、いろいろなメディアのデジタル化への対応もできると思うし、アジアへの展開もしやすくなる。