体制一新で臨むイオン、SPA始動も前途多難
これまでの衣料品売り場は、Tシャツ、ジーンズ、トレーナーなど種類別に配置してきた。そのため購入客は目的の商品のみを買って帰るケースがほとんどだ。実際イオンの衣料品で1人の客が一度に買う商品数は、1・5着に満たない。
そこでトップバリュコレクションでは、ジーンズカジュアルの「ジーニング」、女性らしさを意識した「ナチュラル」、チェック柄など伝統的スタイルの「トラッド」、サイクリングや散歩にお薦めの「スポーティブ」と、売り場を四つに再編。生活シーン別にコーディネート提案することで、一度に2~3着の購入を促す。人事評価項目にも最低2着購入してもらうことを加えている。
不調なら追い出し食らう 分社化で退路を断った
ただイオンにとって、こうしたコーディネート提案型の売り場は初めての挑戦ではない。2006年にスタイルストアを立ち上げたが、大型SCなど集客力の高い施設では当初売り上げを伸ばしたものの、中型GMSには浸透せず、衣料品改革としては不十分に終わっている。
「GMSの組織内での衣料品改革は片手間だった」と冒頭の荻原久示社長は振り返る。同氏が07年に衣料品専門店コックスからGMSの衣料本部長へ就任した際に痛感したのは、「現体制では販売のスペシャリストは育たない」ということだった。