「会社員はダサくていい」は絶対にウソ! 『メンズクラブ』編集長に聞く、武器としての"装い"
――外国人は確かにかっこいいけど、自分たちはオジサンだからそこそこでいいのでは……というサラリーマンもいると思うのですが。
そこにまた、日本人特有の誤解がありますね。
別に、欧米のビジネスエリートたちが、全員ブラピやジョニー・デップみたいな顔や体型をしているわけではないですよ(笑)。背が小さい人もいれば、太っている人もいる。頭が薄くなっている人もいます。歳をとって、ちょっとお腹が出てきている人だって当然います。僕は、生まれつきの顔や体は「ビジネスにおける見た目」とほぼ無関係だと思います。世界のエリートたちは、自分の体のサイズに合った、ビジネスシーンにふさわしい着こなしをしているだけです。
――「世界のエリートをマネするには見た目から入る」と。
セミナーや勉強会などに熱心なビジネスマンほど、服だけがぽっかり盲点になっていることが多いので、要注意です。「自分にはこんな財務分析の知識があって」とか「自分の売りは英語力です」と言う前に、それを相手に知ってもらわないと。知ってもらうために、それを言葉で説明するチャンスはないと考えたほうがいい。だから、服に語らせることが重要なのです。
編集長なのに、アシスタントと間違えられる
――企業内で出世するにも、服が重要なポイントになってくるとお考えだそうですね?
はい。普段、僕らサラリーマンは組織の名を借りて仕事をしています。その中で唯一「個」が垣間見えるのが、服なのです。名刺の肩書はどうやっても取れませんが、服を経費支給してくれる会社は(制服でもないかぎり)ありません。
先日、面白いことがありました。スイスのバーゼルで、世界的な時計の見本市があって、取材に行ったときのことです。僕はロストバゲージに遭ってしまって、着ていくはずだったスーツやジャケットの入ったスーツケースが、ホテルに届かなかったのです。仕方がないので手荷物に入っていたスウェットを着て取材に行きました。すると、不思議なことが起きました。会場で名刺交換する相手が、誰一人として僕を編集長と認識してくれなかったのです。
初対面の相手からは、スーツを着ていた編集部員→ジャケットを着ていたカメラマン→スウェットの僕
という順番で名刺を渡されました。皆、僕のことをカメラマンアシスタントだと思ったみたいです(笑)。
肩書というのは、この程度のものなんですよ。Tシャツを着ている人間が、明日から突然部長に抜擢はされません。部長にふさわしい格好をしている人が、その肩書になる。