世界の製薬業界は「特許切れ」リスクが収益を圧迫、見通しはネガティブ《ムーディーズの業界分析》
VP−シニア・アナリスト
小坂則子
小坂則子
世界の製薬業界の見通しは、ネガティブである。 この見通しは、向こう12~18カ月にわたる、業界のファンダメンタルな信用状況についてのムーディーズの見通しを示したものである。
製薬業界は重要な岐路にある。大規模で収益性が高く、格付けも高いブランド医薬品メーカーの多くは、後期段階にあるパイプライン(新薬候補)の質も良好とはいえず、コスト圧力が高まる中、特許切れのリスクに直面している。世界の製薬業界に対するネガティブの見通しは、今後の特許切れ、力強さに欠けるパイプラインの質、医薬品価格を対象とした世界的な医療費抑制政策により、複数年にわたって収益成長が圧迫されるとの見方を反映している。一部の企業は継続的な収益低下に直面するとみられる。
特許切れのリスクは依然として、世界の製薬業界に対するムーディーズのネガティブの見通しの主な要因である。特許切れは最近の業界再編の大きな要因となっており、引き続き業界再編を促すものと予想している。
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