世界の製薬業界は「特許切れ」リスクが収益を圧迫、見通しはネガティブ《ムーディーズの業界分析》


企業戦略

今後の特許切れ問題への対応を強化する中で、製薬業界は、事業の積極的な多角化、再編、合理化を継続している。すべての企業が同様の戦略をとっているわけではなく、大型買収、多角化、専業化(専業のバイオ医薬品事業会社にシフトする企業もある)、構造改革、新興国市場への取り組みの活発化など、いくつかに分類される。これらの戦略について、ムーディーズはポジティブに評価している。しかし、負債調達による大型買収などは、株主に対するリターンを高める可能性はあるが、債権者にとっては財務レバレッジが上昇するため、格下げにつながった事例もある。

バイオシミラー(バイオ製剤の類似品)は、開発企業の製品特許が失効した後に、後発品メーカーが上市するバイオ製剤のカテゴリーである。バイオミラーの普及は、EUおよびその他の国々では緩やかで、ブランド医薬品メーカーはマイナスの影響を免れている。しかし、各国政府によるコスト抑制への取り組みの進展に応じて、普及率は徐々に高まるだろう。

後発品メーカーは、多くのブランド医薬品メーカーがマイナスの影響を受ける一方で、向こう数年間は恩恵を受けるとみられるが、特許切れが14年ないしは15年に落ち着いてきたころには、成長が鈍化するであろう。後発品メーカーのさらなる統合も生じてくるだろう。バイオ製剤を持つメーカーは、後発品に関するリスクが小さいため相対的に対応力が高く、バイオシミラーに対しては上市から12年間にわたって保護されている。

さまざまな課題はあるものの、製薬業界の収益性は引き続き強固であり、レバレッジも低いため、高い格付けに位置している。製薬業界のセクターとしてのレバレッジは徐々に上昇しているが、依然として低い。過去数年間、多くのメーカーが格付けへのマイナスの影響を認識して、買収や自社株買いを慎重に行ってきた。この方向で新たなトレンドが生じるものと予想される。

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