ボランティアがつなぐ、被災地の養殖業復興 労働力提供、起業支援で生活再建を後押し
パソコンの指導や事業計画書作成、商品開発の手伝い……。サラリーマン時代に得たノウハウを駆使して、養殖業従事者の起業を支援しているのが南三陸町の渡辺啓さん(40)だ。
神奈川県相模原市の会社でログハウスの企画営業をしていた渡辺さんが南三陸町への支援にかかわるきっかけは現地からのSOSだった。
南三陸町に多くの親戚を持つ渡辺さんは、震災から1週間も安否を確認できず、歯がゆい思いを抱き続けた。そのことがきっかけとなってボランティアとしての現地入りを決断したが、1カ月にわたる休暇取得が困難だったことからやむを得ず会社を退職した。
2011年4月以降、要請されて避難所の運営にかかわった。そのことがきっかけで後に地元の女性と結婚。仮設住宅で暮らしながら、任意団体「ラムズ」代表として、地元住民の起業支援に奔走することになる。
地元の女性たちが次々と起業
地元産のまゆを使った手工芸品を販売する「まゆ工房~いろどり~」、食事処「ほったて小屋」……。渡辺さんの支援で地元女性たちが次々と起業を果たした。養殖業では南三陸町戸倉地区に住む阿部民子さん(52)が12年10月からインターネット販売「たみこの海パック」をスタートさせた。
民子さんは震災前、夫の徳治さん(54)と育てたわかめなどの海産物をお歳暮の時期に限って電話注文で販売していた。それが現在ではホームページを作り、フェイスブックを通じて全国に得意先を広げるまでに拡大させている。
「(生活協同組合)パルシステム茨城 日立市の金沢店に私の等身大の写真がありま~す! 日立市の金沢店に私の商品を置いて頂ける事になりました。お近くの方は是非お越しください。パルシステム茨城さんありがとうございますm(__)m」
民子さんが9月20日に発信したフェイスブックには、136人が「いいね」のボタンを押している。
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