ボランティアがつなぐ、被災地の養殖業復興 労働力提供、起業支援で生活再建を後押し

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震災前であれば、集落の高齢者や外国人研修生などが担っていた労働をなぜ、ボランティアが肩替わりするのか。ボランティア団体の間でも賛否が分かれたというが、ピースボートは生業の再生にはボランティアの力が必要だと判断。複数年もの長期にわたる支援活動に踏み切った。

「漁村の暮らしや漁業に関心のある人に参加していただきたい。漁師さんの力になるだけでなく、外から人材が入ってくることで地域が変わっていくきっかけになればいい」

山元さんはプロジェクトの意義をこう説明する。

できるだけオープンな形で受け入れ先を募集

英国の大学に通う木下里和さん(19)は一時帰国を利用して参加した。「水産業がとても手間のかかる仕事だと知ることができて勉強になった」と話す。

島林由香さん(25)は記者が訪れた時点で「イマ、ココプロジェクト。」への参加がすでに10日目に入っており、西條さんが女川町の観光施設「マリンパル女川おさかな市場」の敷地内に出店したレストラン「サイコー食堂」の運営も9月3日から手伝い始めた。自信作の海鮮ラーメンは島林さん自ら調理している。

「イマ、ココプロジェクト。」を切り盛りするピースボートの山元さん

「養殖の支援では気を遣うことも多い」と山元さんは話す。ボランティアの人数に限りがあることから、すべてのニーズに応えられるわけではない。一部の漁師だけに肩入れしていると誤解されないための工夫も怠らない。

「集落で説明会を開催するなど、できる限りオープンな形で受け入れ先の漁師さんを募集している」(山元さん)。現在、ピースボートでは石巻市内10地区の38軒にボランティアを送り込んでいる。

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