2022年の米国株はあまり上昇しないかもしれない FRBの「姿勢転換」が「政策ミス」になる危険性

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ただ、新型コロナが及ぼすリスクは限定的でも、2021年の経済の高成長を受けて、年初から20%超のリターンを謳歌したアメリカ株が、2022年にも同様のリターンを期待できるかといえば、筆者はかなり懐疑的である。

なぜなら、オミクロン株の悪影響そのものよりも、経済活動への不確実性が高まる中で、ジェローム・パウエル議長率いるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)がインフレ抑制を重視する政策姿勢を強めていることが、2022年前半のアメリカ株式市場の大きな足かせになりそうだからだ。このため、アメリカ株のリターンは、2022年には前年よりも大きく低下すると予想される。

アメリカの早期利上げで想定される数々の懸念とは?

現在、FRB(連邦準備制度理事会)は従来重視していた雇用最大化よりも、ジョー・バイデン政権からの要請もあり、インフレ抑制を重視することで、タカ派にかなり傾斜している。

このため、2022年にアメリカでは財政金融政策の双方が経済成長にブレーキをかける方向に作用しそうだ。2021年の同国経済の高成長を支えたサービス消費の正常化が2022年に一服することも、2022年前半からのブレーキになると予想される。

2022年前半は、経済成長が減速して企業業績の改善ペースが鈍るなかで、FRBが金融緩和の手仕舞いを進める可能性が高い。すでにアメリカの債券市場において、利上げ期待が強まり、イールドカーブ(利回り曲線)のフラットニング(短期金利と長期金利の金利差が縮小し、イールドカーブの傾きが緩やかになること)が続いている。

なかでも、30年満期の超長期ゾーンの金利低下がとくに目立ち、早期利上げによって経済成長率が長期的に低下するシナリオが織り込まれていると言える。

この債券市場の期待形成が妥当かは議論が別れるところで、債券市場参加者が極端に悲観的に傾いている可能性もある。だがFRBによる早期利上げがもたらす同国経済への悪影響については、2022年前半にかけて、株式市場においても債券市場と同様に懸念されてもおかしくない。

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