三木谷社長がシリコンバレーにも住むワケ 11月からは月のうち1週間は海外勤務に
山田:確かに、ビジョンの共有、M&Aという流れは、ビデオ・カンファレンスで自然に出てくる話ではないですね。
三木谷:オフィスを見て「ああ、すげえ。エネルギーあるな」とか。そういうことが、実はかなり重要ですね。会って話をすることで、これ行けるね、となったり、ならなかったりする。インタラクションの中で出てくるものって、プレゼンテーションのパワーポイントには、まず書いてありませんから。
山田:Ebatesは国内比率が90%、海外比率が10%なわけですよね。つまり、Ebatesも海外に弱い。
三木谷:10%の部分がものすごい勢いで伸びています。
山田:楽天とEbatesの課題はお互い、似ているわけですね。ロシアを伸ばしましょう、インドを伸ばしましょう、というところではかなり似ている。
三木谷:世界展開をする際には、両方のハイブリッドモデルでいける。その場合、マーチャントは自分で店をつくってEbatesから入ってもいいし、楽天のシステムを使ってショッピングモールの店舗を作ってもいい。どっちがいいですか?という話なんですね。コンバージョンレートがいいほうを選べばいいわけです。
多様性を受け止める経営スタイル
山田:今、欠けている、もしくは増やしていきたいのはどんなパーツですか。
三木谷:たくさんあります。Slice technologies(8月に買収したデータ分析会社)は、この世の中、何が起こっているかということがデータによって分かってしまう。なんでGoogleが強いのかというと、世の中の動きがデータで分かっているということですよね。Google以外の会社が知らないことを知っている。でもSliceを買収したことによって、楽天も世界中で誰が何をどういう価格で買っているかというのを、ある程度は分かるようになるわけですよね。
山田:データにかなり凝っているわけですね。
三木谷:なんといってもデータです。kindleの本をタイの人がどれだけ買っているかという情報を分析できる。それがないと戦えないと思います。これは、もうインテリジェンス戦争だっていうことです。Sliceのスコット・ブラディCEOとはシリコンバレーで会って買収の話をまとめた。
山田:もちろん2人でビジョンを共有できたわけですよね。
三木谷:当然。見えている世界が一緒じゃないとダメだし。
山田:以前から疑問に思っていたんですが、楽天は、分散型の連邦経営ですか。それとも(中央集権型の)帝国経営ですか。
三木谷:いやいや(笑)。買収して全部のことを直轄でやってしまおうという発想は古い。マネージメントのスタイルに関して言うと、やっぱりある程度ダイバーシティ(多様性)を受け止めるようなことが、まず必要なわけです。そのことを前提として、どうやって一致団結的なチームワークを実現していくかが重要だと思っています。
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