心療内科医が語る、子どもには「いい甘え」が必要だ 明橋大二さんに聞く「大人の向き合い方」

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うまくいかないのは、子どもに問題があるのでもなく、親の育て方が悪いわけでもなく、まだそういう年齢になっていないということです。年齢が上がるにつれて、子どもも、しだいにできるようになってきます。いや大人だって、かつてはそうだったのです。でも今はそれなりにちゃんとできるようになっています。大丈夫です。心配いりません。

兆しになるのは

――2年間、暗いニュースが多かったです。2022年以降に期待をしていることはありますか?

コロナで何が変わったのかをひと言で言うと、多様性を認める社会にいっそう進んだ点だと思います。学び方については、リモート授業が進みました。オンライン家庭教師も増え、全国のどこにいても受けたい家庭教師の授業を受けられるようになっています。

不登校の子に対応する学校以外の学びの場も増えてきました。教育や障がいについて、世界ではニューロ・ダイバーシティ(神経多様性)という新しい概念も生まれています。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)、HSC(人一倍敏感な子)といった神経発達の特性も多様性の一つであり、その多様さが人類には必要です。DNAに多様さが残されてきたことには意味がある。それがニューロ・ダイバーシティの考え方です。

社会は「学校がイヤだ」という子も必要としています。そういう子がいなければ、学校を改革しようという声も出てこないでしょう。逆に、HSCの子に優しい学校は、すべての人に優しい学校です。多様性を認める社会は、すべての人に優しい社会なのです。

そういったことを教えてくれるのが、さまざまな特性を持った人たちであり、多様性を持つ人がともに生きていく社会がコロナ禍を端緒として生まれた。それは、これからの社会においてますます大事になっていくということを、私たちは学ばなければならないと思います。

――ありがとうございました。(聞き手・石井志昂/編集・小山まゆみ)

【プロフィール】明橋大二(あけはし・だいじ)
1959年大阪生まれ。子育てカウンセラー、心療内科医。真生会富山病院心療内科部長。著書『子育てハッピーアドバイス』シリーズは累計400万部を超える。
不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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