心療内科医が語る、子どもには「いい甘え」が必要だ 明橋大二さんに聞く「大人の向き合い方」

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――子どもに関わっていると「頭ごなしに子どもを叱ってはいけない」と思いつつも、ついキレてしまうこともあります。親自身の気持ちは、どうやって発散すればよいのでしょうか?

ついキレてしまうのは、その親御さんが、一生懸命に子どものことに関わっているからですよね。でもなかなか思うようにならなくて、それでキレてしまうわけです。だから、ついキレてしまうのは、それだけ親御さんががんばっている証拠。そういう自分をまず、ほめてほしいと思います。親自身の発散の方法としては、おしゃべりするのが一番だと思います。友だちと直接、会うのが難しければ、リモートでもいいですし、電話でもかまいません。おたがいの近況報告を兼ねて、おしゃべりするのが一番いいと思います。

――すこしでも子どもに伝わる叱り方、というものはあるのでしょうか。

なかなか難しいことですよね。「叱る」については、ポイントが3つあると言われています。まず1つめは、「叱る」とは、子どもが相手のことも自分のことも大事にできるように教える、ということです。「叱る」とは「教える」ことなんですね。ですから、別に大声を上げる必要もなければ、ヒステリックに怒鳴る必要もない。むしろそのようにすると、それで子どもは頭が真っ白になって、そのあと何を言われたか全然覚えてない、ということになりかねません。内容がちゃんと相手に伝わるためには、目を見て、簡潔に、きっぱりと。これが大事です。

2つめは「~してはいけません」と否定するのではなく、「~してほしい」と伝えることです。必要なのは正しい行動を伝えることですから。「廊下を走ってはいけません」ではなく、「廊下は歩こうね」。「人を叩いちゃいけません」より、「何かしてほしいときは言葉で伝えようね」と言う方が、今後どういう行動をすればよいのか子どもに明確に伝わります。

著者・明橋大二/イラスト・太田知子/1万年堂出版

3つめは、伝える言葉の最初に「私は」がくるように伝えることです。これをアイ・メッセージと言います。たとえば「おまえはいつもダメだ」ではなく、「お父さんは心配したよ」など、親の気持ちを言葉にすると、子どもは「心配させて悪かったな」という気持ちになりやすいと言われています。

それでもやっぱり同じことを何度もくり返し言わないといけないですよね。そういうときに、私が親御さんによく言う言葉があります。それは「子育ての悩みの9割は年齢とともに解決する」です。

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