社会人10年目「転職すべき人」とそうでない人の差 最初の転職の年齢が高いほど変化対応は難しい

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1つ目が、「自分の葬儀の弔辞」シミュレーションです。これは、私がMBAコースに通っていたときに実際にやってみたシミュレーションです。具体的には、何十年後かの自分自身の葬式で、「誰が」「どんな内容で」弔辞を読んでくれるかを想像して実際にその弔辞を作ってみる、というものです。

私は長男に読んでほしい弔辞を作ったのですが、書いているうちに自分が漠然と持っていた「世間にこう見られたい」とか「こんなふうに人に記憶されたい」という思いが具体的になったのを覚えています。

もう1つが、2005年のスタンフォード大学卒業式でスティーブ・ジョブズが行ったスピーチの一節にある「人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」というシミュレーションです。「人生の最晩年だったとして、これをやり続けるか?」といった読み替えでもいいです。転職を考えるときなどは、とくに有効なシミュレーションです。

この先のキャリアが長いと思うから、「まあ、いっか」と思ってしまうわけです。実際に長いので焦りすぎることはないのですが、あえて想定してみましょう。

最晩年に「いつ終わるかわからない日本語化を待って、売れない外国製ソフトウェアを売り続けるか?」とか「志もインテリジェンスも、品すらもない形式上の上司の下で、自分の貴重な時間を使い続けるか」と考えると、すんなり「あ、それは嫌だな」という結論に至るものです。

今ご紹介した2つの方法、知っている人はご存じだと思います。

この書籍を手に取ってくれるような、志の高い人たちです。「あー、知ってる知ってる。あの有名なやつでしょ?」と思った人は多いのではないでしょうか。そして残念ながら多くの人は、そこで終わります。

日本のビジネス界の問題はここにあると思っています。インテリジェンスはあるのに一歩踏み出さない。ポテンシャルがあるのに、何らかの理由で発揮できない。

秘密兵器も秘密で終わったら存在しなかったことになります。

一度、筆をとってシミュレーションしてみてください。その瞬間が、あなたのキャリアの大きな分かれ道かもしれません。

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