もはや日産の象徴に!「ノート」発売1年通信簿 全車e-POWER採用という決断、その評価と結果

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ノートのインテリア(写真:日産自動車)

e-POWERの全車種採用にあわせ、新型ノートはe-POWERドライブも標準設定とした。その意味は、始動スイッチを入れると必ずe-POWERが機能するように設定されているということだ。また、その際の走行モードはECOモードになる。

一般的にECOモードは、燃費向上には役立つかもしれないが、運転感覚としては加速に鈍さを覚えさせ、結局、よりアクセルを踏み込む運転となりがちになる。だが、新型ノートのECOモードは、それと気づかせぬ十分な発進・加速性能を備え、日常はもとより高速道路での運転でさえそのままでよいと思わせる動力性能だ。

ノートと同様にe-POWERが採用されたSUVのキックス(写真:日産自動車)

新型ノートが発売される前にSUV(スポーツ多目的車)の「キックス」が新発売された。これもe-POWERを搭載するが、改良されたキックスのe-POWERは静粛性が向上し、あたかもEVを運転しているかのような気にさせた。新型ノートのe-POWERはさらに第2世代へ進化した最初の採用で、キックス以上に静粛性を覚えさせたのである。そこには上級車感覚があった。

こうして、フルモデルチェンジをした新型ノートは、外観や室内の趣を刷新しただけでなく、燃費や動力性能、そして快適性を含め、性能を大きく前進させて登場したのである。

安定した販売台数で存在感を示す

その成果は、モデルチェンジ後からさっそく現れ、2021年1月から平均して毎月7000台前後で販売が推移し、年度末の3月には1万3000台を超えた。それでも、販売台数の首位攻防は、トヨタ勢に上位を独占され、ノートは4~5位に入るのが精一杯といったところだ。

ただし、販売動向の評価に際して再三私が触れているように、トヨタの販売店舗数は日産やホンダなどの約2倍に達し、そのうえでの統計であることを忘れてはならない。したがって、毎月1万台超えを記録するトヨタの上位車種に対し、ほかの自動車メーカーの本当の実力は、月販台数を2倍にするなどして比較してみる必要があるということだ。

また、たとえば「ヤリス」の場合、その販売台数にはSUVの「ヤリスクロス」やスポーツ車種の「GRヤリス」も含めて集計されており、その視点で見れば、新型ノートとキックスを足した台数で比べて見るといった視点もあり得るのではないか。キックスを加算すると、新型ノートの数字はかなりヤリスの販売台数に迫る月がある。

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