ワークマン「女性向け店急増」に隠れた意外な戦略 「アパレルへ移行」は誤解、職人の利便性を重視

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ワークマンの店長とすれば、一般客が増えすぎないほうがオペレーションはしやすい。例えば、土日になると一般客が急に増えるような店舗は、パートさんを大幅に増やしておく必要がある。土日だけ勤務してもらうわけにはいかず、平日にも出てもらうようにすれば、それだけ人件費もかかってくる。平準化できればこうした問題がなくなるわけだ。

こうしたことまでを考えて#ワークマン女子の出店を増やしていく計画をしている。目指しているのは、加盟店との良好な関係を築いたうえでの100年の競争優位である。

知名度をあげることが客数を増やすことにつながるのは当然である。テレビで商品などが紹介されれば、来店客数や売り上げは跳ね上がる。

SNSをいかに利用するか

一方でSNSが生み出す効果も、我々の想像を超えたものになっている。メディアへの露出を増やす戦略を練るのは本部の役割であるが、SNSをいかに利用するかという点では加盟店に助けられている面もある。

『ホワイトフランチャイズ』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

SNSの運用についてはまだルールづくりができていないため推奨はしていないが、自主的にやっている店舗が出ている。そういうSNSは、お客様にとっては身近なものとなり、効果をあげやすいようだ。

また、人気や知名度だけでなく、重要なのが在庫管理だ。「適正在庫」が守られているかどうかは、店舗の利益を大きく左右する。

この2年ほど、来店者数や売り上げを大きく伸ばせてきているなかにあっても、在庫を持ちすぎた店舗は思うような利益をあげられていないのがわかっている。ワークマンの加盟店になっている以上は、店長たちにはできるだけ収入を増やしてもらいたい。そのためにも我々は自動発注システムの精度を高めていくなど、やれることを順次進めている。

一朝一夕でホワイトフランチャイズは成り立たない。さまざまな想いと仕掛けが結実していき、はじめて形が見えてくるのがホワイトフランチャイズである。

前回記事:絶好調ワークマンが「職人用品を店の右に置く」訳
前々回記事:ワークマンの加盟店は「夫婦で経営が条件」のなぜ

土屋 哲雄 ワークマン専務

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つちや てつお / Tetsuo Tsuchiya

東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て三井物産デジタル社長に就任。本社経営企画室次長、三井情報取締役。2012年ワークマンに入社。2019年より現任。ワークマン店は作業服市場を取り尽くす勢いのため、2018年に新業態店として「WORKMAN Plus」を仕掛けて大ヒット。20年に女性目線の「#ワークマン女子」店を立ち上げ、10年で400店舗の出店をめざし快進撃中。著書に『ワークマン式「しない経営」』(ダイヤモンド社)がある。

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