ワークマン「女性向け店急増」に隠れた意外な戦略 「アパレルへ移行」は誤解、職人の利便性を重視

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データについては「難しいデータを持っていく必要はない」と平野本部長も指導している。データを重んじる人は難解なデータばかりを提示しがちだが、意味があるならどんなに単純なデータでもかまわない。

逆にいえば、データとしてどれだけすごいものであっても、見せただけで終わりになるなら意味はない。

“使えるデータ”か、そうでないかが、なにより問われるところだ。

「なるほど、こうすればもっと儲かりますね」と相手を動かすことができるデータをつくれたならベストといえる。

最近は、データ処理が得意とはいえないタイプの社員であっても、あっと驚くような分析ツールをつくりだすケースもある。1人ひとりが“自分に何がやれるか”を考えていくマインドが根付いてきたからではないかと思う。それだけ会社全体が成長している証である。

新業態「ワークマンプロ」を12月に初出店

現在、「ワークマン」は567店舗、「ワークマンプラス」は351店舗、「#ワークマン女子」は8店舗となっている(2021年10月時点)。

既存のワークマンはワークマンプラスへの業態転換を進め、ワークマンプラス、#ワークマン女子は新規開店も増やしていく。それにより10年後には、ワークマンは200店舗として、ワークマンプラスが900店舗、#ワークマン女子を400店舗とすることを目標にしている。

いまは年間40~50店舗を新規オープンさせているが、これから先も、やみくもに出店数を増やしていくことはない。出店する際にはさまざまな調査を行い、既存店への影響なども考慮する。新店舗をつくることで一時的に既存店の売り上げが落ちる場合もあるが、地域的な需要を考えているので、最終的にはマイナスにならないようにしている。

新業態として12月2日に「ワークマンプロ」がオープンした。東京の板橋前野本通り店がその1号店となる。

ワークマンプロで目指しているのは職人さん向けのワークマンの最終形態だ。カジュアルな商品をいっさい置かないわけではなく、お客様の中心に職人さんを考えた店舗にすることを想定している。

これから4業態で展開していくということではなく、3業態で展開していく方針は変わらない。作業客の多いワークマン店舗が改装を考えたとき、ワークマンプラスにできない場合はワークマンプロにすることになる。

12月から出店を始めた新業態「ワークマンプロ」(写真提供:ワークマン)
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