老舗高級百貨店が店内にスケボー場を作ったワケ 今の時代「若者を惹きつける何か」が重要課題

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老舗百貨店が店舗内にスケボー場をつくった。その狙いは――(写真:AnnaStills/PIXTA)
最近「今までのようにモノが売れない」という声をよく聞きます。
価値観が多様化し、SNSが普及した今、マーケティングの最優先事項だった「消費者のニーズ」は見えづらくなり、逆にSNSを通じて企業のふるまいそのものが、消費者から見えるようになりました。かたやSDGsをはじめ、企業には社会的責任も求められています。この複雑な時代に、マーケティングには何ができるのでしょうか?
「今、ニーズよりも重要なのは『企業が消費者に、どこまで未来の安心を約束できるか』ということです」と語るのは、多くの企業のブランド戦略立案やイノベーション・プロジェクトに携わるブランドリサーチのプロ、廣田周作氏。今回は、廣田氏の新刊『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』から、先進的な企業のあり方やマーケティングのヒントを紹介します。

ブランドに求められる「コミュニティ力」

さまざまなリサーチを調べると、企業やブランドが人々から信頼を獲得するうえで、「安心できるコミュニティを運営しているかどうか」が重要になっていることがわかります。これは従来の広告コミュニケーションやSNSのバズ・バイラルのマーケティングとどのように違うのでしょうか。

広告は文字通り、広く告げることが最重要課題ですが、コミュニティには、顔の見えるメンバーに対して、親密にていねいなコミュニケーションを取ることが求められます。

英国のリサーチファームのStylusが発表しているレポートに、ある15歳の女の子の、「大切なのは、ブランドを通して伝わるコミュニティの感覚です(キャメロン・ワードさん、15歳、ロンドン在住)」という発言が記載されています。これこそ、今まさにブランドに求められていることのなかで、最も重要なことだと思います。

今、若い人たちが「イケてる」ブランドだと感じるのは、有名かどうかではなく、「生き生きとしたコミュニティの感覚」があるかどうかです。「生き生きとしたコミュニティの感覚」とは、具体的には「信頼できる人たちが運営している」「近い価値観の人が集まっていて排除されない」、あるいは「自分の孤独に向き合ってくれる」といった感覚です。

ここに、注目すべき論文があります。2020年の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に、ジャーナリストのサラ・ウィルソン氏が寄稿したレポートです。

彼女は、「アンチ・ソーシャルメディアの時代」と題したレポートのなかで、「これからのデジタル上のコミュニケーションにおいて、SNSは弊害が大きすぎるので、みんなが安心して時間を過ごせるコミュニティ、いわば、デジタルのキャンプファイアができる場所が必要だ」ということを議論しています。

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