AOKI、シェアオフィス拠点数首位に躍り出る秘策 ネットカフェがリモートワーク拠点に早変わり

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運営会社である快活フロンティアの東英和社長は、AWSとの相互利用を進める中で、快活クラブがシェアオフィスに適していることを実感したという。「ネットカフェとして当たり前に続けていた24時間営業もその一つ。グローバルで仕事をする人に深夜に利用してもらえることもわかってきた」(東社長)。

シェアオフィスとしての事業性を考えた場合、必要な時だけ貸し出す時間貸しは、利用者にとっては便利だが、運営側にとっては収益の不安定化につながる側面もある。だがその点、快活クラブはシェアオフィスを複合カフェの付加サービスとして始められる身軽さがある。

目標は1000店規模のネットワーク

初期投資の軽さも魅力だ。現在、個室ブースには深く沈み込むリクライニングチェアと暖色系の照明が採用されている。それを2023年3月までに全店で、デスクワークに適したやや硬めの椅子と昼白色の照明に切り替える計画だ。

快活フロンティアの東英和社長(記者撮影)

切り替えにかかる投資額は、「10億円もいかないのではないか」(東社長)。コロナ禍で会社貸与パソコンの普及率が上がったことで、利用者からは「パソコンより広い作業スペースが欲しい」という声もあり、個室のパソコンを減らすことも検討中。仮に約1割のパソコンのリースを解約すれば、それだけで投資額をすべてまかなえる可能性もあるという。

投資に先行して、まずは2022年3月までに快活クラブ全店でAWSとの相互利用とレシート出し分けに対応する。これが軌道にのれば、次はAWSの多店舗展開も視野に入ってくる。将来的には、AOKIが運営するカラオケ「コートダジュール」や他社の施設とも連携し、全国に1000店規模の「AWSネットワーク」を作る計画だ。

コロナ禍での一手が「ネットカフェからリモートワーク」の定着するきっかけになるか。それは、快活クラブの遊びやくつろぎの空間というイメージを「ずらす」ことができるかにかかっている。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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