JR東海「新幹線オフィス」、東日本とどう違うのか 東海道新幹線「のぞみ」10月から専用車両を設定
新幹線の車内で仕事をするビジネスパーソンに向け、新幹線のビジネス環境を整える動きが急ピッチで進んでいる。
その端緒を開いたのはJR東日本。2020年12月15日に東北新幹線の車両をテレワークオフィスとして活用する「新幹線ワークプレイス」構想を発表し、2021年2月と6〜7月の2度にわたって実証実験を行っている。
コロナ前は連日、満員の新幹線車内でパソコンのキーボードをたたく乗客の姿が多く見られた。観光客とビジネス客が混在する車内では、「子供の騒がしい声がうるさくて仕事に集中できない」「自分のキーボードの操作音が隣で寝ている乗客の迷惑にならないか気になる」といったさまざまな意見が飛び交う。さらに、携帯電話での会話は自席ではなくデッキに移動して行うことがマナーとされている。つまり、これまで新幹線の客室は仕事をするための最適な空間ではなかった。
「のぞみ」7号車がビジネス車両に
ビジネス専用車両の必要性は以前から認識されていた。とはいえ、コロナ前の新幹線の乗車率は高く、実証実験をする車内空間を生み出す余裕がなかった。皮肉にも、コロナ禍による乗客の激減でそれが可能になった。
JR東日本から数カ月遅れとなったが、JR東海もビジネス専用車両の導入を宣言した。東海道新幹線は東京―名古屋―大阪を結ぶ経済の大動脈。ビジネス専用車両の潜在的ニーズは東北新幹線よりもはるかに高い。JR東海の金子慎社長は5月14日に行われた決算説明会の席上で、「パソコン利用を気兼ねなく行える車両を試行的に設定したい」と意気込みを示した。
さらに4カ月あまりを経て、東海道新幹線にビジネス環境を整備した「S Work車両」が10月1日に登場した。「のぞみ」の7号車(普通車)を周囲に気兼ねすることなく、携帯電話での会話やパソコン仕事ができる車両として設定した。
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