「消費税引き下げ」を政府がまるで議論しない理由 下手を打つと「財政悪化を加速させる」だけ
11月末、オミクロン株の発覚を受けて、岸田首相は海外からの入国の全面禁止という世界で最も過激な対策を取りました。この対策は、海外からは「やりすぎだ」と批判されましたが、国内では「スピーディな決断だ」「国民の生命を守る姿勢に賛同する」と国民の圧倒的な支持を集め、各種世論調査で内閣支持率は4割台から6割超に跳ね上がりました。
10月の衆院選で自民党が絶対多数を獲得し、懸案だったコロナがようやく沈静化し、現在、岸田首相の政権基盤は強固です。ただ、政治の世界は「一寸先は闇」。コロナ第6波や参院選に向けた自民党内の駆け引きなどから、政権基盤が揺らぐという事態も考えられます。
オミクロン株対応で、国民受けする過激な手を打てば支持率が上がると知った岸田首相。もし政権基盤が揺らぐ事態になったら、国民の期待に応えて消費税の引き下げに踏み切るのではないでしょうか。さすがに「消費税ゼロ」はないとしても、「向こう3年間、税率を5%に引き下げ」というくらいの政策は十分にありえます。
日本にとって最悪のシナリオは…
ただし、岸田首相が政権を維持し、国民が大喝采しても、万々歳では終わりません。財政が悪化し、格付け機関が日本国債を格下げし、円安→輸入物価上昇→スタグフレーションという悲惨な事態がかなり確実に訪れます。
「消費税ゼロ」についてまったく議論せず、人気取りのために思いつきで実施し、悲惨な経済状態に陥る……。これは、日本経済にとって最悪のシナリオではないでしょうか。
現在、政権与党だけでなく、主要野党も、財務省も、経済の専門家も、「消費税ゼロ」の議論を避けています。しかし、国家を揺るがすかもしれない重大な決定であり、ゼロベースで徹底的に議論するべきではないでしょうか。議論の結果、「そんなうまい話はない」と全国民が認識してほしいものです。
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