プライベート・エクイティファンドは危機を誘発しない、付加価値生み出す--カーライル・グループ共同創業者 デイビッド・ルーベンシュタイン

もちろん、経済的な便益というか、ベネフィット、これも極めて大きい。おっしゃるとおり時間がかかり、かなり多くの手間が必要だが、だからこそしっかりした仕事をすれば、30%といった高いIRRが得られる。これが大きな金銭的なインセンティブになるということだ。

これらをインセンティブとして、PE業界は成長してきたわけで、そのことがPE業界に人材を集めることにもつながっている。

-- 日本での投資実績は10年間でたった12件、2000億円にすぎません。カーライル全体のわずか3%です。投資ファンドへの拒絶反応が、障害になっているのですか。

確かに日本の経営者はPEに企業を売却することへの抵抗がある。PEのメリットを認識してもらうためには、まだ時間がかかるだろう。そもそも、日本にはどうも企業を売却したがらない傾向もある。

米国の場合は自分が企業を経営して、うまくいかなかった場合は、売却することをよしとする傾向がある。欧州でもある程度そういった傾向があるが、日本をはじめアジアの国々では、なかなか売ることをよしとしない文化があるようだ。こういった背景のため、案件数は少なかったということだ。

私が日本に最初に来たのは大学を卒業した1970年で、それからは毎年来日している。日本は投資をするのに非常にいい市場で、日本でいま起こっているさまざまな変化には、楽観視している。近い将来に、もっとPEの活動が増えてくると期待しているが、米国並みになるにはもう少し時間がかかりそうだ。

(鈴木雅幸・週刊東洋経済編集長、山田雄一郎 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年7月31日号)

David.M.Rubenstein
米メリーランド州ボルチモア出身。1970年デューク大卒、73年シカゴ大ロースクール卒。73~75年までニューヨークで弁護士として活動。75~76年に米上院司法委員会の憲法改正小委員会の主席法律顧問、77~81年のカーター政権時には大統領副補佐官(内政担当)を歴任。その後87年にカーライルを設立するまで、ワシントンDCで弁護士として活躍。母校のデューク大やシカゴ大、外交問題評議会等複数の大学や機関、企業で理事等を務める。

 

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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