プライベート・エクイティファンドは危機を誘発しない、付加価値生み出す--カーライル・グループ共同創業者 デイビッド・ルーベンシュタイン
薄まった資本主義の顔 変わるPEの投資家
--3年前に小誌インタビューで「投資ファンドは米国資本主義の顔(=象徴的な存在)である」と話されましたが、今も前回と同様の認識ですか。
あのときは、「米国資本主義が人格化をした」と言うか、「非常にアグレッシブでビジブルな(目に見える形の)アントレプレナー(起業家)活動を集約したのがPEだ」と申し上げた。バブル崩壊前に比べると現在は案件が少なく、さほどビジブルでもなくなり、資本主義の顔という色彩は薄まっている。
--では、危機前と比べ、投資手法や事業領域が変化したと。
PE業界全体では案件が小規模になり、ファンドの規模も小さくなった。エクイティへの投資比率が大きくなったことで、レバレッジ比率は低下した。投資をするときに、投資先の業務スキルにさらに照準を当てるようになった。また、大手PEは、高成長のエマージングマーケットに対する投資が大きくなり、マイノリティ出資(少数持ち分投資)や他のPEとの共同投資も増えている。
もう一つはPEに対する投資家層も変化した。以前は公的年金が多かったが、危機後はソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)の存在が大きくなっている。
--すると、危機前に30%あったカーライル全体のIRR(年率換算の平均投資回収率)は現在下がっているということですか。
過去23年間で600億ドル相当のエクイティに投資している。投資案件全体の金額規模が大きく、投資期間も長いので、IRRが30%から大きくぶれることはない。
--投資時に重視している点は。
まず投資先の経営陣がしっかりしているかを見ている。それから投資先企業の成長性が合理的に見込めるか。加えて、妥当な価格で買収できて、4~6年で30%のIRRが期待できるか、適切な業界であるかだ。つまり、たばこなど不適切な業界に投資をしないということだ。