プライベート・エクイティファンドは危機を誘発しない、付加価値生み出す--カーライル・グループ共同創業者 デイビッド・ルーベンシュタイン
さらに、カーライルの専門知識を動員して付加価値を生み出すために、取締役会なり、当該企業の経営陣を通じて、われわれの影響力を行使できるかどうかも重要。専門知識を持っていても、経営陣が耳を傾けてくれなければ意味がないからだ。
-- 他の投資ファンドに比べカーライルの優れている点は。
現在のPE業界は二極分化をしている。全世界に数千のPEがあるわけだが、グローバルなブランドとしては3~5社くらい。カーライルのほか、TPG、KKR、ブラックストーン、ベインあたりだ。
カーライルの競争相手は、こういったグローバルなブランドだ。これらのPEが大きくなれた理由は、いずれも非常に賢明な要員を抱え、投資スキルがあり、戦略的な洞察に長けていたからだと思う。
われわれが他社より優れている点は、グローバルなプレゼンスを持っていること。25のオフィスを全世界に擁しているが、これだけのオフィスを持っているPEはほかにはない。加えて66の多様なファンドがカーライルにはあるが、他のPEはせいぜい1ダースくらいのファンドしか持っていない。また、カーライルには運用のプロが多いことも大きい。多様なグループの運用のプロが66のファンドを運用しているわけだ。さらには、要員数は米国外のほうが米国内よりも多い。これも他のファンドにはない点だ。
投資家の基盤も非常に大きい。1300の機関投資家、70カ国の富裕層の資金を運用している。投資家の基盤が大きいために、突然何社か解約したとしても、困るということはありえない。
心理的・経済的に恩恵 日本でもPEは増える
-- そもそも金融ビジネスの中で、4~6年もかけて経営者と共に会社を立て直すという手間のかかる投資手法を、あなたが選んだ理由は。
PEに携わることで、心理的にも経済的にも恩恵を受けている。心理的な側面では、買収企業をよりよくしているのだという喜びがある。株式を買った時点では何の付加価値も生み出していないわけだが、投資先企業の業績を改善することで、経済効率向上に貢献している。そしてある意味では、それが世界を前よりも若干でもよくしていると。また、年金基金が投資家に入っているので、年金受給者すべてに満足してもらえるという点もある。