エリートに「突然休職する人」が意外にも多い理由 適応できるからこそ逆にストレスを自覚できない

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コロナ禍で前兆なく休職するエリート社員の特徴とは?(写真:ilixe48/PIXTA)
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経済協力開発機構(OECD)の調査で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本国内でうつ病・うつ状態の人の割合が2倍以上に増加したことが明らかになりました。

そうした状況において、隠れストレス負債アプリ「ストレススキャン」「ANBAI」を提供するDUMSCOの調査によれば、ビジネスパーソンの約20%が、自身の高ストレスに無自覚なため、前兆なく休職するリスクが高い「隠れストレス負債者」であることがわかりました。

さらにその約63%は、年収800万円を超える役職者で、いわゆるエリート社員と世間一般から認識されているような方々です。なぜエリート社員たちは自身のストレスを自覚することができず、ある日突然休職するのか。隠れストレス負債の原因や彼らの特徴を解説していきましょう

人が無自覚のストレスを抱えやすい根本理由

まず、そもそもストレスとは何かということを少し説明します。もともと物理学の用語で、ストレス学の祖と言われるハンス・セリエが、物体に力が加えられたときに、ゆがみが生じるのと同じ現象が、人や動物にも起こるということを発見しました。

セリエによれば、ストレスとは「ストレス刺激(ストレッサー)」と「ストレス反応」の相互作用のことを意味します。つまり、ストレッサーという「力」を受けて、ストレス反応という「ゆがみ」が生じるわけです。

一般的に「ストレス」といえば「イヤな仕事」「イヤな上司」などを想像する方が多いかもしれませんが、それは「ストレッサー」という、あくまでもストレスの一側面であり、そのストレッサーという刺激を受けて私たちの身体や心に生じたさまざまな反応(ストレス反応)のほうにも目を向ける必要があるのです。

とくにストレス反応として真っ先に生じやすいのは、心ではなく身体の反応です。私たちのクリニックには頭痛外来が併設されていますが、その半数くらいはストレスの指標でもかなり高い点数が出ています。朝の頭痛を訴える人の3割程度が「うつ状態」を呈していたという欧州の調査もあり、頭痛とストレスというのはとても深く関わっています。頭痛以外にも、吐き気やめまい・耳鳴り、手のしびれ、じんましんなどの皮膚の異常、便通や睡眠の異常など、ありとあらゆる身体の症状がストレスによって生じます。

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