エリートに「突然休職する人」が意外にも多い理由 適応できるからこそ逆にストレスを自覚できない

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明らかにオーバーワークの状態でも、労務負荷を軽減したり休職したりすることを嫌う傾向がみられます。ストレスチェックでの点数が高いので休職を打診しても、「それだけは勘弁を」と言われることが少なくありません。

自らの立場や居場所を保全したいという感覚が強く、自分が「できないこと」を周囲に知られることを恐れる傾向があるためだと考えられます。これには日本人特有の「恥を基調とする文化」も関連しているでしょう。「周りと横並びでありたい」「悪目立ちしたくない」という気持ちが強く、適切なタイミングでの相談や負荷軽減措置を遅らせ、結果として「朝、急に起き上がれなくなって」不本意な形で休職に入り、結局長引いてしまうというケースがあります。

休んだ先の生活の様子が想像できないため、一歩踏み出しにくいということもあるでしょう。「休む」という判断は非常に勇気が必要なものです。こうした恥やおそれの感覚に配慮し、休職のシステムや保障についての情報提供や、「居場所がなくなるわけではない」というメッセージを伝えるなど、先の見えない恐怖を緩和させるようはたらきかけることで、適切なタイミングで「休む」という選択をしてもらいやすくなるでしょう。

「適応力」が高すぎる

適応力があるというのは、とても重要な能力です。それができる人は相手の表情や言動から場のニーズを敏感に察知し、自らのとるべき行動を選択できる能力に長けています。振られた仕事を「なんでもやります!」と意欲的に取り組んでくれる人は、組織の中で非常に高い評価を得るでしょう。

しかし、「適応力がありすぎることは危険である」というのは、強調したいです。自分にフィットしていないものに対しても適応しようとし続けると、人間というのは必ず体調が悪くなるようにできています。でも、それをミスマッチのせいではなく、自分の努力不足だと勘違いして、いろんな症状を黙殺してしまい、傷が深くなるのです。

現代において、他者に適応しつづけることだけでは幸せになることは難しいと考えています。

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